このページの本文へ

小惑星リュウグウの起源を解明、彗星の近くで誕生=北大など

2022年12月21日 06時44分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

北海道大学などの共同研究チームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」がC型小惑星「リュウグウ」から採取したサンプル中に、初期太陽系の高温環境で形成した鉱物を多数発見。これら高温鉱物が内側太陽系で形成後、外側太陽系まで輸送されてリュウグウ等の母天体に集積したものであり、リュウグウは通常の炭素質隕石よりも太陽から遠い、彗星に近い領域で形成されたことを明らかにした。

北海道大学などの共同研究チームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」がC型小惑星「リュウグウ」から採取したサンプル中に、初期太陽系の高温環境で形成した鉱物を多数発見。これら高温鉱物が内側太陽系で形成後、外側太陽系まで輸送されてリュウグウ等の母天体に集積したものであり、リュウグウは通常の炭素質隕石よりも太陽から遠い、彗星に近い領域で形成されたことを明らかにした。 研究チームは今回、はやぶさ2が採取したリュウグウおよびイヴナ型炭素質隕石を走査電子顕微鏡で形状観察、化学組成分析し、水溶液の変質作用を生き残った初生鉱物を探索。それらの鉱物の起源を特定するために、同位体顕微鏡(二次イオン質量分析計)を用いて、酸素の同位体組成を測定した。 その結果、高温環境(1000℃以上)で形成した鉱物を新たに多数見つけ出し、そのうち40粒子については、起源の異なる2種にはっきりと分けられることがわかった。2種の高温鉱物の存在比率は、通常の炭素質隕石とは大きく異なっていただけでなく、米国航空宇宙局(NASA)が2004年にスターダストミッションでヴィルド第2彗星から採取したサンプルと非常に似通っており、小惑星リュウグウは彗星の近くで誕生したとの結論を得た。 はやぶさ2が持ち帰った試料の初期分析により、リュウグウは、イヴナ型炭素質隕石に類似した物質であり、主に低温(約40℃)の水溶液から析出した鉱物で構成されることが分かっている。このような鉱物は、リュウグウの母天体において氷の融解より発生した水溶液がリュウグウに元々あった鉱物を変質させることでできたもので、こうした変質作用は太陽系誕生から約500万年後に起こったとされている。そのため、それ以前の初期太陽系の情報を得ることはできていなかった。 研究論文は、サイエンス・アドバンセズ(Science Advances)誌に2022年12月16日付けでオンライン掲載された

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ