【腕時計ライターが推薦「いま欲しい」機械式腕時計3選】「40〜60万円」で狙う一流時計ブランドの実力派メカニカル
2022年12月24日 12時00分更新
伝統が息づくロングセラーがスリムになって才色兼備!
オメガ/デ・ヴィル プレステージ
オメガの創業は1848年で、スイス時計産業の中心地であるジュラ地方の時計工房として出発し、ほどなく頭角を現した。栄光の来し方の中で最大級のブレークはといえばやはり1969年、NASAの月面探査計画でシーマスターの派生機種として展開されていたスピードマスターが使われ、世界中の注目を浴びたことだろう。以降、スピードマスターやシーマスターはオメガの代名詞となった。
このようにスポーツ系のモデルが躍進する一方で、オメガは創業以来一貫して数々の素晴らしいドレスウオッチを作り続けており、長い歴史全体を見ればむしろ根幹はこちらともいえるのだ。「デ・ヴィル」は1967年にシーマスターから派生したドレス系のコレクションで、これを母体に1997年、よりシンプルでクラシカルなコレクションとして誕生した「デ・ヴィル プレステージ」が10年ぶりにリニューアル。第3世代となった。外装、機構ともに連綿と受け継がれてきたソフィスティケーションが深化し、魅力を増している。
メンズとレディス合わせて6モデル、計138種が新たに発表された中で、40㎜径のメンズ、センターセコンドのモデルはご覧の通り機能的なベーシック・デザインが秀逸という指向性は先代の機種も同様なのだが、大きな進化ポイントは薄さだ。ドーム状のダイヤルを採用し、その裏のスペースにムーブメントを収めることでシリーズ初のケース厚10㎜以下、9.93㎜を実現した。いうまでもなくドレスウオッチにとって薄さは重要な「スペック」。見た目が上品なだけでなく装着感に優れ、大きく手を動かしてもシャツの袖口にひっかかることなく、所作を美しくすることができるのだ。
くだんのドーム状ダイヤルは、インデックスや指針もダイヤルの形状に合わせてカーブしており、精緻な工芸品を思わせる。派手さはないかもしれないが、滋味にあふれるこのような奥深い魅力はドレスウオッチの真骨頂といえるものだ。その内側に潜むCal.8800は同社が近年威信をかけて実用化を進めてきた高精度・高耐磁性能を担保するマスター クロノメーター仕様。仕事も休日も、冠婚葬祭までこれ1本で何でもこなす普遍的な外観に破格の高性能。スポーツ系のフラッグシップに比して価格は手頃ながら、オメガの真価を物語るとても象徴的な存在だ。
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