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X線偏光による超新星残骸の磁場観測で予想外の結果=IXPEチーム

2022年11月28日 05時54分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学や名古屋大学が参加する、X線偏光撮像衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」の国際研究チームは、超新星残骸「カシオペア座A(Cas A)」の観測で、世界で初めて超新星残骸からのX線偏光検出に成功した。IXPEは米航空宇宙局(NASA)とイタリア宇宙機関が主導する国際共同プロジェクトであり、世界初のX線偏光撮像衛星である。

大阪大学名古屋大学が参加する、X線偏光撮像衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」の国際研究チームは、超新星残骸「カシオペア座A(Cas A)」の観測で、世界で初めて超新星残骸からのX線偏光検出に成功した。IXPEは米航空宇宙局(NASA)とイタリア宇宙機関が主導する国際共同プロジェクトであり、世界初のX線偏光撮像衛星である。 超新星残骸では、星の爆発で外縁部に形成された衝撃波により、粒子(陽子や電子)が光速近くまで加速され、電波や可視光、X線など様々な波長帯の電磁波が放射される。今回のIXPEのX線偏光観測によって、Cas Aにおける衝撃波近傍の磁場は全体的にみて、中心から放射状に伸びていることが明らかになった。この結果は他の波長帯の偏光観測とも一致しており、X線帯域でも同様の結果が得られたことは、衝撃波のごく近傍ですでに磁場の方向が衝撃波面と垂直に切り替わっていることを示唆しているという。 さらに、偏光度が低かったことから、磁場は一律に揃っているわけではなく、ある程度入り乱れていることも示された。X線放射は最近加速された粒子により、衝撃波の近傍のみで生み出されるので、今回のCas Aの観測では衝撃波に沿った円弧状に揃った磁場と高い偏光度が検出されることが予想されていたが、予想外の結果となった。 従来のX線観測は撮像・分光・測光が主軸であり、これらの観測手法では磁場の測定が困難であった。2021年12月9日に打ち上げられたIXPEの偏光観測により、直接的に天体の磁場構造を観測することが可能となった。 今回の研究成果は、米国科学誌アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)に2022年10月10日付けで掲載された

(中條)

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