喫煙の害は主に燃焼して発生する煙にある
紙巻きから加熱式に変えることで、どれくらいリスクを低減することができるのか。それが一番気になるところでしょう。セミナーでは、喫煙の害の原因から紹介がありました。
たばこに含まれているもので、一番有名なのは「ニコチン」だと思います。しかし、ニコチンは、依存性(習慣性)があってリスクフリーではないものの、実は喫煙関連疾患の主因ではないと飯田氏は語ります。病気や死亡の原因になるのはニコチンではなく、主に紙巻きたばこに含まれる毒素と発がん性物質だということです。
紙巻きたばこには、ニコチンを含む植物となるたばこ葉に加え、6000以上の化学物質が含まれています。その化学物質のうちの約100種類が、喫煙関連疾患の原因、または潜在的原因として、公衆衛生当局に特定されているそうです。こういった化学物質を燃焼した際に発生する煙が、もっとも有害性が高いというわけです。
では一方で、加熱式たばこのIQOSはどうなのか。下の図をみてもらうと、オレンジ色の部分が、ニコチンやグリセリン、水以外の化学物質となりますが、加熱式たばこでは、かなり量が少なくなっていると思います。加えて、燃焼するわけではなく加熱するという方式にしたことで、IQOSにおける有害または有害成分発生の平均低減率は、90%~95%にのぼるそうです。
また、厚生労働省の委託研究によると、加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度も、紙巻きたばこに比べれば少ないという研究結果も紹介がありました。
さらに細かく、1000人規模の実験も実施したと飯田氏は話します。健康な喫煙者を対象に、「喫煙を続ける」「IQOSに切り替える」「禁煙する」の3組にわけ、90日間での曝露量を測るというものです。
この結果で驚きなのが、上の図のようにいずれも「IQOSに切り替える」人と「禁煙する」人の曝露量がほとんど変わらないという点です。これだけでも、禁煙できないにしても加熱式たばこに完全移行したほうがいいのでは……という気持ちになりました。
また、今後は紙巻きたばこによる長期的影響・疾患リスクを集団レベルでモニターしていくとのことです。これにより、もしかしたらより紙巻きたばこを吸える空間は減っていくかもしれません。そうなってくる前に切り替えておいたほうが、行きやすい社会になるのかも……とも思ってしまいます。