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全固体電池内のリチウムイオンの動きをリアルタイムで観測=理研など

2022年10月30日 08時43分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所(理研)、日本原子力研究開発機構、ヨーク大学、ユヴァスキュラ大学の研究グループは、全固体電池内のリチウムイオンの動きをリアルタイムで観測し、捉えることに成功した。

理化学研究所(理研)、日本原子力研究開発機構、ヨーク大学、ユヴァスキュラ大学の研究グループは、全固体電池内のリチウムイオンの動きをリアルタイムで観測し、捉えることに成功した。 研究グループは、リチウム-6の濃度を95.4%まで濃縮したコバルト酸リチウムの正極と、リン酸リチウムの固体電解質、タンタルの負極を用意。それぞれの厚さを500ナノメートル、1000ナノメートル、27ナノメートルとして、薄膜全固体電池を試作。試作した電池に熱中性子を照射し、6Li(n,α)3H熱中性子誘起核反応によって放出されるα粒子と、三重水素粒子のエネルギースペクトルを充電開始からの時間の関数として測定した。測定結果はリチウムイオンの表面からの深さの関数として表現するリチウムイオン濃度の形で得た。手法自体は新しいものではないが、全固体電池の分析に適するように再構成することで、時間分解能1分間でリチウムイオンの動きを捉えることに成功した。 研究成果は9月30日、スモール(Small)誌にオンライン掲載された。今回は薄膜全固体電池を使用したが、厚さ150マイクロメートルの固体電解質に、厚さ20マイクロメートルの正・負極を持つ全固体電池も分析できるという。さらに、測定方法を調節することで深さ分解能を1ナノメートル程度に狭めることも可能だという。これによって、電極と固体電解質の間に発生する界面抵抗の起源が解明できる可能性があるとしている。

(笹田)

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