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奈良・春日大社に設置

「鹿せんべい」を自販機で販売!便利なだけではない深い理由

2022年10月26日 20時00分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

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 ダイドードリンコは10月25日、飲料とともに鹿せんべいなどを販売する「I LOVE シカ 自動販売機」を奈良県にある春日大社境内に2台設置したと発表しました。

 ダイドードリンコ、一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(以下、奈良県ビジターズビューロー)、鹿サポーターズクラブ、一般社団法人 CHIE-NO-WA(以下、CHIE-NO-WA)、株式会社ペーパルの5社で企画で企画したもの。

 売上の一部は一般財団法人奈良の鹿愛護会の活動に役立てられるということです。

観光客にとって便利なだけではない!

 “鹿せんべい自動販売機”と口にするとなにやらインパクトがありますが、奈良のシカにエサをあげたい観光客にとって鹿せんべいを手軽に買えて便利。なるほど、観光地だからねと思いきや、本自動販売機の設置は利便性や売上だけを目的としたわけではないようです。

※画像はいらすとや

 春日大社(奈良公園)は、シカを神の使いとして保護しているため、一帯には野生のシカ(ニホンシカ)が生息しています。修学旅行などでおとずれて、群がってくるシカにおののきつつ鹿せんべいを与えた経験がある人は少なくないでしょう。

 鹿せんべいは有人の売店で販売されていることが多いです。「I LOVE シカ 自動販売機」では、有人販売が行われていない時間帯でも鹿せんべいの購入を可能にすることで、観光客がシカに鹿せんべい以外の食べ物を与えることを防止するとともに、シカとの接し方などの啓発メッセージを容器にデザインし、シカと人間とが共存できる環境を創ることを目的としているそうです。

こちらが、「I LOVE シカ 自動販売機」。景観を損ねないような配色です。側面には鹿愛護会のロゴ

鹿せんべい販売ボタン。他、奈良にちなんだ「鹿角ストラップ」なども販売

 そうか、シカへ「鹿せんべい」以外の食べ物を浅はかに与えてしまう人がいる、ということですね。野生の動物に人間の食べ物などを与えたら悪影響が出る可能性は言うまでもありません。人間の利便性だけではなく、シカの保護を考えているところに胸を打たれるではないですか。

早朝など変わった時間に奈良へ訪れた際に

鹿せんべいは500円で10枚入りです

 鹿せんべいは紙箱に入った状態で販売。捨てられるはずだったお米を混ぜた紙素材「kome-kami」を使用して、フードロス削減への貢献も意図しているとのことです。

パッケージ

 さらに「I LOVE シカ 自動販売機」では、鹿せんべいの他に奈良にまつわる商品として「鹿角ストラップ」「バンビレザーチャーム」も販売されます。春日大社を訪れた観光客にとってはよいお土産になるのではないでしょうか。

「鹿角ストラップ」1000円

「バンビレザーチャーム」1000円

 なお、飲料とともに鹿せんべいを販売する自動販売機は全国で初めてだそうです。画期的な自動販売機の設置を披露するとして、10月24日に「鹿苑」でイベントが開催されました。

10月24日に「鹿苑」で開催されたお披露目式の様子

左から、奈良ビジターズビューロー 専務理事 中西 康博さん、ダイドードリンコ 西日本第一営業部長 日高 健一郎さん、奈良の鹿愛護会 会長 大川 靖則さん、株式会社ペーパル 取締役 矢田 和也さん、鹿サポーターズクラブ 会長 朝廣 佳子さん、CHIE-NO-WA 代表理事 田中 千恵子さん

 有人の売店が開いていない時間帯に観光客がいるのか? と不思議に思った方もいるかもしれません。筆者の経験だと、かつて夜行バスで東京から奈良に観光で訪れた際、早朝7時ごろに到着し、東大寺など主要な観光地が開くまでマクドナルドで時間をつぶした思い出があります。もしあの時、鹿せんべいが自動販売機で買えたら、シカと共に早朝の時間帯を満喫できたかもしれません。需要は少なからずあるはず。

 みなさんも奈良に訪れたら「I LOVE シカ 自動販売機」をチェックしてみてはどうでしょう!

【設置場所】
2カ所
・春日大社 国宝殿前 所在地:奈良県奈良市春日野町 160
・鹿苑(ろくえん)
所在地:奈良県奈良市春日野町 160-1

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