まさに“持ち運べるスタジオ”!AMD Ryzen搭載のライブ配信用機器BlastreamsがWindows PCよりも配信に適している理由とは?
2022年11月15日 11時00分更新
「渋谷愛ビジョン」はBlastreamsで自動化!
ひとつの事例として、渋谷にある「渋谷愛ビジョン」では、毎日00分になると自動で引きの画面、20分になるとアップした画面になり、企業の広告を入れたりしている。それをずっとライブ配信しているのだが、従来は人が画面をスイッチングして切り替えていたという。
実際には現地にはIPカメラがあり、ネットワークで別の場所にある事務所のPCを経由し、タワーPCから配信していた。また、現地の音は著作権物もあるため、別途セットボックスのようなものを通してミキサーで調整して、タワーPCに入れていたという。それを現在はBlastreamsで自動化しているそうだ。
Blastreamsは、グローバルIPアドレスを直接引っ張ってこられるため、ログインさえできれば世界中のカメラ映像を配信できるという。他にも長野にある女子中学校で、屋外でのドローンの空撮を配信する際も使われるなど、活用の場が広がっているという。
加えて、一般的なHDMI/SDIが使えるライブ配信機器はかなり高価だが、BlastreamsはSDIも使えるため、プロユースにも応えられる配信機器であると語った。
インターフェースとしては、SDI以外にギガビットLANが2ポートある。BlastreamsはOSにLinuxを採用しているが、Linuxはサーバーなどにも使われるため、複数のネットワークを同時に使用できる。そのため、別々のネットワークに接続していれば、どちらか一方が接続不良を起こしても、ネットワークが切れることなく配信できるように設定できるという。
また、AMD製Ryzenの優れた内蔵GPUにより、ハードウェアエンコードが行なえるという。さらに、アンテナを付ければ無線LAN接続も可能で、有線LANと無線LANの冗長化も行なえる。
そのほかのインターフェースとしては、USBは2.0、3.0が2ポートずつあるため、実質UVCカメラは4台接続が可能。HDMIの入力ポートがあり、ディスプレイを備えるため実際には必要ないが、別途画面を出力するためのDisplayPortも2ポートを備える。ラインアウト、マイクインも用意されている。
また、OBSは現在バージョン28が最新だが、不安定であるため、Blastreamsではその前のバージョンに留めているという。Blastreamsでは、同社が安定動作すると考えるバージョンが、前述した同社の専用アプリにてダウンロードされるという。そのため、ユーザーが考えることなく、より良いバージョンが配信されたら、同社の専用アプリから更新状態を確認し、任意でアップデートが可能になるとのことだ。
ラッキー橋本は「バージョン28では、NDIのプラグインが使えないんですよが、そのあたりも、きちんと考えられているんですね」とコメント。
鈴木氏は「NDIのプラグインなどは、ユーザーの方が自分で試さないといけないのが、割と大変です。そもそも、新しいバージョンが登場した時に、それが今まで通り使えるのかは、普通なら自分で調べないといけません。しかし、それは弊社のエンジニアが行なっているので、心配なく使って頂けます。また、主要なプラグインを一通り導入しているので、ほとんど困ることはないはずです」とのこと。
そもそも、アスキー編集部ではOBSに自分でNDIのプラグインを導入しているが、同社ではNDIが使えるようにOBSインストール時に、同時にインストールしているという。「デフォルトでインストールされるプラグインも不要なものは、最初から削除しています」とのこと。
Blastreamsは、OBS用に作られた専用PCだ。他にもライブ配信を行なう機器はあるが、高価な専用機器は詳細なマニュアルやトラブルシューティングがないこともあり、いざトラブルの際に調べるのが大変。
しかしながら、OBSは世界中で使われているため、インターネットで調べればトラブルがすぐに解決するのも選択した理由という。加えて、同社の専用アプリにてBlastreamsに最適な形でOBSがインストールされるため、ユーザーが自分で考えることなく、快適にライブ配信が実行できるようになっている。
また、Blastreamsは12v電源を使用しているのだが、これは車のシガーソケットと同じ電圧であるため、車のシガーソケットから電源を取って動作できるという。これにより、車で移動して屋外から配信が行なえるのも利点とのこと。
セットアップ後は、OBSがすぐに起動するようになるが、OSとしてLinuxが入っているため、デスクトップを表示することも、フォルダーに保存した画像や動画を引っ張ってくることも可能。
本体はノートPCよりは厚みこそあるが、15.6型のノートPCくらいのサイズで、バックパックなどには簡単に入れられるサイズで持ち運びもラク。後は、USB接続のキーボード&マウス、外付けのカメラ、LANケーブルなどがあれば、少ない荷物でライブ配信が行なえる。
アスキー編集部では、放送を行なう度に組み立てた配信用の自作PCを引っ張り出し、カメラやディスプレイを用意して、セッティングした後、毎回それを片付けているという手間が、省スペースで行なえるので大分軽減する、常設するのにも便利そうだとコメント。
ライブ配信に特化し、Linuxを活かした2つのネットワークの冗長化、小さすぎず、大きすぎないディスプレイにより、別途ディスプレイを必要とせずに映像の確認ができ、まさに“持ち運べるスタジオ”ともいえる。ライブ配信を生業としている人には、利便性の高い1台ではないだろうか。