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PTAの枠を超える板橋第八小PTA LINE WORKSで多言語交流やアイデア醸成を実現

2022年10月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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導入後半年でペーパーレスへ 翻訳機能で多言語交流を実現

 PTAとしては、やはりペーパーレスが大きかった。「紙を配布するとか、ホッチキスで止めるといった作業をなくし、やりとりを一切LINE WORKSで完結させることです」(寒川氏)とのこと。導入から半年後、2学期からは完全なペーパーレスを実現される。圧倒的なスピード感だ。

 即時性というメリットもあった。「学校から『体力測定で手助けしてくれる人が足りない』というヘルプが来ても、LINE WORKSの掲示板に載せたことで、10分で20人くらい集まりました。今までは紙を事前に配布して募集かけていたので、大違いです」と氏は語る。

 LINE WORKSならではの既読機能で見る限り、登録された保護者370人強のうち、おおむね180~200人近くがすぐにチェックする人だという。

 この即時性は子供の安全にも直結している。以前、都内の学校に爆破予告のメールが来たときも、PTA自体がLINE WORKSを用いて保護者に対して情報提供を行なえたという。「即時性は今までにない武器だと思っています」(寒川氏)。

掲示板に載せた体力測定の手助け募集

爆破予告についても迅速に対応できた

 LINE WORKSの使い方は日々、PTAのメンバーどうしで相談し、良いアイデアは新しい活用につながっているという。「学校の周りを見回るスクールガードというお仕事があります。今までは希望日程を紙のアンケートで提出していますが、LINE WORKSのカレンダーを活用できるのではないかと話し合っています」(寒川氏)。10月以降はLINE WORKSのカレンダーに予定を入れておき、都合のよい保護者が予定を入れるという方法に変わる予定だ。

 ユニークな使い方としては、LINE WORKSの翻訳機能を活用した多言語のコミュニティを運営しているところだ。

 板橋第八小PTAは日本語を教える日本語学級があり、日本語を母国語としてしない子供や保護者が多い。「各クラス2~3名は外国人で、まったく日本語を話せないという子もいます。両親が中国人、韓国人という子も多いし、ベトナムやタイ、ウクライナの子もいます」(寒川氏)という状況だ。そんな外国人の親御さんたちがPTA活動に参加できない理由は、言語が通じないことだ。

 これに対して副会長の発案で作られたのが、LINE WORKSの多言語コミュニティ。「トークルームに韓国語ルームとか、中国語ルームを設けて、日本人のメンバーも参加してもらっています。これがなければ、たぶん会話しなかっただろうお母さんどうしたちで盛り上がっています」(寒川氏)とのことで、単なる連絡ツールとしてだけでなく、言語の壁を越えたコミュニケーションに役立っているとは、正直予想をはるかに超えた使い方だ。

韓国語ルームではハングルが飛び交う

もちろん英語でのコミュニケーションも

ホウレンソウだけではないアイデア実現のプラットフォームへ

 板橋第八小PTAでは、既存のPTAの枠をはるかに超えた、ユニークな施策が次々と実現されている。

 たとえば、9月から学校と連携し、親子が連携したプレゼンの授業がスタートする。プレゼンに長けた社会人である親と協力し、児童は将来の夢ややりたいことをプレゼン形式で発表してもらう。これは昨年のコミュニティスクール委員会の中で「伝える力」についての課題を熟議したことを受けて、PTAの方で具体化したという流れだそうだ。「ICT教育の旗印は掲げられておりますが、まだすぐにできる状況ではありません。その間に目の前の子供達は卒業してしまう。だったら、自分たちでやってしまおうという発想で、学校に提案した結果、土曜日にやることになりました」と寒川氏は語る。

 GPSデバイスを使った児童のみまもりサービスも導入を検討中だ。国内のみまもりサービスはおおむね年間で6000円~1万円が相場。これをPTAのスケールメリットを活かすことで、安価に利用できるようにするのが目的だ。近隣のPTAと連携することで、よりバイイングパワーを高めていきたいという。任意参加のPTAだからこそ、今までより魅力的な組織にしていこうという思想が根本にある。

 保護者が抱えている既存のみまもりサービスに対する不満や要望も、LINE WORKSで吸い上げた。デバイスに関しても、「不満の多くは価格なんですが、電池がもたないことを気にされる保護者も多い。課題を解決策も含めてサービス事業者と交渉していきたい」(寒川氏)。

 こうした施策の多くは、PTA、学校、教育委員会との緊密な連携に加え、保護者どうしでのLINE WORKSのコミュニケーションが活発になったからこそ実現に進んでいる。「たとえば、プレゼン授業では、各班に保護者がつき、子供の意見を引き出したり、アドバイスしてもらいます。今後の授業は金融でも、テクノロジーでもいい。LINE WORKSのおかげで、こうしたスキルを持つ保護者に協力を募ることができるんです」と寒川氏は語る。単なるホウレンソウのツールではなく、アイデアを実現するためのプラットフォームに成長しているわけだ。

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