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超高効率太陽電池を低コスト化、10分の1に=名大など

2022年09月15日 16時03分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学、大阪大学、東北大学などの共同研究チームは、特殊なペーストをシリコン単結晶基板に印刷して熱処理をすることで、高品質なシリコン-ゲルマニウム(SiGe)半導体の膜を非真空でシリコン基板上に実現することに成功した。超高効率太陽電池のゲルマニウム基板を代替することで、製造コストを従来の10分の1以下にできる可能性があるという。

名古屋大学、大阪大学、東北大学などの共同研究チームは、特殊なペーストをシリコン単結晶基板に印刷して熱処理をすることで、高品質なシリコン-ゲルマニウム(SiGe)半導体の膜を非真空でシリコン基板上に実現することに成功した。超高効率太陽電池のゲルマニウム基板を代替することで、製造コストを従来の10分の1以下にできる可能性があるという。 研究チームは、東洋アルミニウムが独自技術で製造するアルミニウムとゲルマニウムの合金を含むペーストをシリコン基板上に印刷した後、非真空下で数分程度の熱処理を実施して、シリコン基板の表面とペーストが溶けたアルミニウム-ゲルマニウム-シリコンを成分とする溶液を形成。同溶液の温度が降下する過程で、過飽和状態でシリコン-ゲルマニウム膜を成長させた後、表面に残留したペーストを化学処理によって除去することで、シリコン基板上にシリコン-ゲルマニウム半導体の膜を得た。 宇宙向けの超高効率多接合太陽電池では、ゲルマニウム基板の上に複数の化合物半導体薄膜太陽電池を重ねることで高いエネルギー変換効率を実現している。しかし、ゲルマニウム基板が製造コストの50%以上を占めており、地上での利用に向けて、安価な材料で代替することが課題となっていた。 研究成果は、サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に2022年9月12日付けで掲載された

(中條)

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