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業界人の《ことば》から 第498回

国内では業種・業務ソリューション「スクラムシリーズ」に注力 

複合機から、それを中心としたサービスへと転換を目指すリコー、kintoneやPFUとも連携

2022年08月15日 10時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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今回のひとこと

「4年半前のリコージャパンは、まだモノ売りの仕組みが強く、業種や業務を理解していない、課題を理解していないと言われた。それから4年半に渡るスクラムシリーズによる実績は他社に比べて大きなアドバンテージになる。お客様の困りごとを捉えながら、業種、業務の課題を解決できる」

(リコージャパンの木村和広社長兼CEO)

オフィスサービスを強化するスクラムシリーズ

 リコーが、国内事業において力を注いでいるのが、業種・業務ソリューション「スクラムシリーズ」だ。 

 リコーは、中長期目標として、OAメーカーから脱皮し、デジタルサービスの会社への変革を打ち出している。リコーのデジタルサービスの範囲は、「お客様の”はたらく”に寄り添ったサービスと、それに貢献するデジタル技術やデバイス」であり、オフィスサービスやオフィスプリンティング、エッジデバイスのほか、商用印刷や産業印刷のデジタル化に加え、社会課題を解決するためにデジタルを活用した新規事業など、同社が取り組む既存事業領域に広くまたがるものと位置づけている。

 2021年度実績ではデジタルサービスが占める売上げ構成比は42%。これを2025年度までに60%以上に高める計画だ。

 そして、リコーがデジタルサービスの会社へと変革する上で、重要な役割を果たしているのがオフィスサービスの強化。その中核的役割を担うのがスクラムシリーズである。

 デジタルサービスで実現するのは、手作業などで行われている業種業務ごとの固有ワークフローをデジタル化することで自動化や省人化し、生産性を向上すること。さらに、オフィスや自宅、現場などがデジタルでつながることで、「現場とオフィスの間」「ITで行う業務と業務の間」「外部企業との間」「オフィスとホームの間」に介在する課題を解決し、時間や場所にとらわれない新しい働き方を提案することだ。これを具体的な形で実現するのがスクラムシリーズということになる。

販売実績に直結する成果が出せる

 スクラムシリーズは、中小企業を対象にしたスクラムパッケージと、中堅企業向けのスクラムアセットで構成している。

 スクラムパッケージは、現在、9業種3業務向けに、154パックをラインアップ。市場のニーズを見極めながら、常に改良や入れ替えを実施し、2017年10月の発売以来、2022年6月までの累計販売本数は約23万4000本に達している。

 2022年度の年間計画は、スクラムパッケージに使用するICT商材の品不足が影響し、当初の13万本から、10万本に下方修正。2022年度第1四半期の実績も前年割れの実績と厳しいスタートとなったものの、セキュリティ領域のスクラムパッケージは、前年同期比2桁成長を記録。とくにICT商材に依存しないクラウド型セキュリティSaaSアプリケーションによるパッケージが好調だという。

 国内市場がターゲットとなるスクラムパッケージにおいて、同事業の中核を担うのがリコージャパンである。同社の木村和広社長兼CEOは、「セキュリティ関連のスクラムパッケージが好調な背景には、社員に対する教育の効果がある」と語る。

 リコージャパンでは、2022年5月以降、毎週水曜日午前中に、1万9000人の全社員を対象にした「全社アップデートデー」を開始している。これは、毎月共通のテーマを掲げ、計画的に学習するもので、用意した教育コンテンツのなかから、個人のレベルにあわせて学習でき、顧客への提案活動において、すぐに実践できる仕組みとしているのが特徴だ。

 「5月、6月の2カ月間は、セキュリティをテーマに全社アップデートデーを実施したところ、販売実績に直結する結果が出た。6月は、セキュリティソリューションの実績が前年同月比20%増になった」という。それ以降もセキュリティに関するスクラムパッケージの受注は継続的に進んでおり、今後も成長領域のひとつと捉えて、販売を強化していくことになるという。

 スクラムパッケージでは、今後、バックオフィスにおけるソリューション強化を進めるという。具体的には、電子帳簿保存法改正への対応やインボイス制度への対応、それに伴う基幹業務改善といったように、法改正に伴うニーズへの対応を図る。すでに、電帳法対応で8シナリオ、インボイスト制度対応で5シナリオ、基幹業務改善で11シナリオの合計24シナリオを用意することを明らかにしており、さらに、リコーの請求管理クラウドサービスである「MakeLeaps(メイクリープス)」とのセット提案も推進するという。

 リコージャパンの木村社長は、「電帳法に対する動きはすでに活発化しており、リコーが持つMFP(複合機)と、クラウドプラットフォームであるEDW(EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES)を組み合わせた証憑電子保存ソリューションは、過去6カ月間で1500本以上を販売し、電子帳簿保存法に対する需要が急加速していることを感じている」とする。

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