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会話を通じて認知症を診断するAIプログラム=慶應大など開発

2022年08月12日 06時28分更新

文● MIT Technology Review Japan

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慶應義塾大学とフロンテオ(FRONTEO)の共同研究チームは、自然言語処理(NLP)を用いた「会話型 認知症診断支援AIプログラム」を開発した。高齢者と医療者の間の自由会話文を基に、認知症の可能性を人工知能(AI)が検知する。

慶應義塾大学とフロンテオ(FRONTEO)共同研究チームは、自然言語処理(NLP)を用いた「会話型 認知症診断支援AIプログラム」を開発した。高齢者と医療者の間の自由会話文を基に、認知症の可能性を人工知能(AI)が検知する。 研究チームは、135人の協力者から合計432回分の自由会話を録音し、自然言語処理の技術を用いて、書き起こし、形態素と品詞への分解、ベクトル変換、機械学習を実行した。その結果、3分から5分程度の発話から得られる語彙数で、認知症への罹患を精度0.90、感度0.88、特異度0.92で判定することに成功した。 認知症の診断には、通常、病歴の問診に加え、画像検査、記憶や計算力などを測る複数の認知機能検査を実行するが、これらの検査は専門性が高く、検査をする医療従事者が訓練を受ける必要がある、時間がかかる、などといった問題がある。今回のAIプログラムによる診断は、簡便に実行できるので、医療従事者・患者双方の負担を軽減できる。 さらに、従来の認知機能検査の課題であった、繰り返し実行することで被験者が検査内容を覚えてしまい検査の精度が低下する「学習効果」を避けることが可能とな技術として、スクリーニング検査などへの実用化が期待される。研究成果は、2022年8月3日付けで、サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)誌に掲載された

(中條)

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