アップルの「MacBook Air」では話題のM2が搭載されたが、これのみならず、全体にわたって再設計されているのがポイントだ。それはディスプレイーから筐体デザインまで多岐にわたるが、本稿ではオーディオ的な視点で改良ポイントを見ていきたい。
まず、M2搭載のMacBook Airでは内蔵スピーカーが大きく改良された。
M1搭載のMacBook Airではフルレンジのスピーカーユニットが左右2基搭載されていたが、M2 MacBook Airではこれが高域用のツィーターと低域用のウーファーに分かれ、合計4基のスピーカーユニットが搭載されている。開口部も変化している。M1 MacBook Airでは左右にスピーカーポートがあったのだがM2 MacBook Airではそれが廃止されてヒンジ部分に左右二個のポートが空いている。
Patently Appleは、M1 MacBook Airに存在したスピーカーユニット専用の開口部が一見して見えなくなったことからM2 MacBook Airに専用ポートを持たず、キーの間隙から音が出るアップル特許(出願番号:20220026964)が使われているのではないかと想像していたが、iFixitの分解結果を見る限りはスピーカーユニットが専用のヒンジ部のポートに直結されているようなのでこれは違うようだ。もしかすると画面にいったん音を当てて前面に反射される技術かもしれないが、詳細は分らない。
音質はオーディオ機器の音ではないが、悪くはない。低音が足りないスマートスピーカーのような音質だ。透明感があり、中高域に関してはそう悪くない。また音の広がり感は独特の良さがあって立体的に広がるように感じられる。MacのOSがずっと昔にOEMされた時期には、日本のメーカーから立派なスピーカーを内蔵したMacが出ていたことがある。現代のMacBook Airにそれを望むのは無理というものだろう。薄型コンピューターの内蔵スピーカーにしては立派なものだと思う。

この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ