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東北大、iPS細胞の軟骨誘導で培養期間の短縮に成功

2022年08月03日 07時39分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、試験管内で従来よりも迅速かつ効率的に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から軟骨様組織を作る技術を開発した。同技術で作製した軟骨様組織をラットの膝関節軟骨欠損モデルに移植すると、腫瘍を形成することなく膝関節が再生された。今後、ヒトの軟骨再生技術に応用することで、培養期間の短縮による費用削減や効率的な再生治療といった効果が期待できそうだ。

東北大学の研究チームは、試験管内で従来よりも迅速かつ効率的に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から軟骨様組織を作る技術を開発した。同技術で作製した軟骨様組織をラットの膝関節軟骨欠損モデルに移植すると、腫瘍を形成することなく膝関節が再生された。今後、ヒトの軟骨再生技術に応用することで、培養期間の短縮による費用削減や効率的な再生治療といった効果が期待できそうだ。 研究チームは、抗生物質を加えることで「BMP-4(Bone morphogenic protein t 4、骨形成タンパク質4)」遺伝子の発現を容易に制御できるマウスiPS細胞を作製。この細胞を振盪(しんとう)しながら浮遊培養することで、約4週間で成熟した軟骨様の塊を得た。その後、この軟骨塊をラットの膝関節軟骨欠損部へ移植することで、腫瘍を形成することなく関節の軟骨と骨がほぼ元通りに再生されることを確認した。 iPS細胞から軟骨細胞へ誘導する方法は、これまでも数多く報告されている。だが、多くの培養段階を要し、長期間の培養が必要になるという問題があった。今回の研究成果は、2022年7月28日付けで、ジャーナル・オブ・ティシュー・エンジニアリング(Journal of Tissue Engineering)のオンライン版に掲載された

(中條)

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