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ACSLがインド市場に本格参入。現地法人設立の狙いとインド展示会での反応は?

2022年08月05日 12時00分更新

文● ASCII

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Drone Festival of India 2022のACSL Indiaブースの様子

 ACSLが、5月27日から28日にインドのニューデリーで開催された「Drone Festival of India 2022」で、ACSLの国産ドローン「SOTEN(蒼天)」を展示した。

インド市場に意欲的なACSL。その理由とは

 本誌で2021年の12月にインタビューをした際も、インド市場への興味を見せていたACSL 代表取締役社長の鷲谷聡之氏

 ACSLは2022年1月28日に、中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」を公表。事業戦略の1つとして「インド市場の本格的な立ち上げ」を掲げ、現地法人の「ACSL India」を設立している。

 なぜ、彼はインド市場への参入に意欲的なのか? その理由のひとつは、脱中国製ドローン、ドローン国産化の動きが、インドで起きているからだ。

 現在、インドのドローン市場は、中国製ドローンの割合が全体の6割を占めている。一方で、日本と同様に、ドローンにおけるサイバーセキュリティー上のリスクを指摘する意見も多く、政府や、政府の関連機関は国産ドローンの製造・販売に対する優遇政策を発表し、ドローン完成品の輸入を禁止するといった措置をとっている。

 ACSLは、この状況に注目し、インド国内での、中国製ドローンとの置き換え需要を早期に刈り取る方針を立てた。今後は、国内市場向けにACSLで事業を展開するだけでなく、インド現地法人のACSL Indiaで現地生産を計画し、インド南部のタミル・ナードゥ州コインバトールにドローンの製造工場を設置。製造・販売・保守メンテナンスを全て現地法人が実行する体制を構築している。すでに、中型のプラットフォーム機体(ACSL-PF2)は輸入許可を取得し、テストや仕様調整を実施。現地販売認定(QCI)の手続きをしている最中だ。

ACSL IndiaのManaging Director・Arjun氏がパネルディスカッションを行なった

 Drone Festival of India 2022への出展も、ACSLのインド市場への働きかけのひとつ。ACSL IndiaのManaging Director・Arjun氏がパネルディスカッションに登壇し、ドローンの社会実装における課題やインフラ整備、人材育成の重要性などについて講演を行なったほか、展示ブースを出展し、インド国内のドローン関係者向けに、同社の機体の魅力をアピールした。展示ブースには、インドのモディ首相も訪れ、ACSLの産業用ドローンを視察したという。

Drone Festival of India 2022での飛行デモの様子

 ACSLは今回の出展に合わせて、「ACSLはACSL Indiaとともに、産業用ドローンの市場拡大が期待されるASEAN等のアジア市場の中でも、特にドローン関連産業の市場も大きいと見込まれるインドにおいて、今後も積極的に事業を推進してまいります」とコメントしている。

国内でもドローン展示会に出展

 なお同社は、7月20日から22日に東京ビッグサイトで開催された「第8回 国際ドローン展」にも出展している。第8回 国際ドローン展には、3日間でおよそ1万3700人が来場。ACSLのブースでは、ワンタッチで切り替え可能なSOTEN(蒼天)のカメラを実際に付け替えて、カメラからの映像をモニターで確認するデモや、専用アプリケーション「TAKEOFF」の操作性を試用できるデモを用意。多くの来場者で賑わいを見せた。

PF2-AE

 また、7月14日に発表した物流・点検用の新機体「PF2-AE」、上下水道管などの閉鎖環境の点検に特化した「Fi4」、5kgペイロードの物流専用機「AirTruck」も合わせて展示。業務の効率化や、人手不足に課題を持つ業界の関係者に向けて、製品の特徴を説明した。同社によれば、SOTEN(蒼天)の操縦の体験者からは、「初めてドローンを操縦したが、簡単に操作できた」「安定して飛んでいる」といった意見があったという。

 ドローンにおけるセキュリティーの重要性を説き続け、国産にこだわってきたACSLだが、国内市場と合わせて、インド市場でのシェアを伸ばすという新たなフェーズに入ったことで、今後どのような展開を迎えるのか。インドの空を日本のドローンが飛び回っている日も近いかもしれない。

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