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グループ会社107社をつなぐコネクト、顧客企業と「デジタルHQ」のメンバー全員をつなぐコネクト

「Slackコネクト」活用ノウハウをGMOとクラウドネイティブが紹介

2022年07月28日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Slack Japanは2022年7月27日、GMOインターネットとクラウドネイティブをゲストスピーカーに招き、「Slackコネクト」の活用事例を紹介する記者向けのカスタマーラウンドテーブルを開催した。

 GMOインターネットでは、グループ107社がそれぞれコミュニケーション方法の独立性も保ちながら、Slackコネクトを活用して迅速な情報共有を図っている。またクラウドネイティブでは、Slackが提唱する「デジタルHQ」のようにSlack中心の分散ワークスタイルを確立する一方で、Slackコネクトの積極活用で「顧客対応に社内メンバーの“全員野球”ができる」環境を構築しているという。

 以下本稿では、2社が語ったSlackコネクトおよびSlackの活用について紹介しよう。

Slackコネクトは、社外の組織(外部ワークスペース)と特定のチャンネルを接続、共有できる機能。双方の組織では社内のチャンネルと同じように利用できる

GMOインターネット グループSV・シナジー推進室 室長の佐藤崇氏、クラウドネイティブ マーケティングディレクターの神前(こうざき)翔三氏

最大250社の取引先とチャンネルを共有できるSlackコネクト

 Slackコネクトは、取引先やパートナーといった社外の組織(外部ワークスペース)と特定のチャンネルを接続し、情報共有ができる機能だ。双方の組織に属するユーザーならば誰でも参加することができ、自社内のチャンネルと同じようにメッセージやファイルのやり取り、ワークフローや連携アプリなどが利用できる。有料プランの組織どうしで利用が可能だ(Enterprise Gridプランの場合は、相手組織が無料プランでもSlackコネクトでの接続が可能)。

 Slackコネクトは2020年6月に発表され、その後も機能強化を重ねてきた。現在では、最大250の外部組織とつながることができるようになっており、共有できるチャンネル数は無制限だ。日本国内でも利用する企業は順調に増えており、Slack Japanによると、直近の1年間(2021年5月~2022年5月)でSlackコネクトを利用する有料ユーザー企業数は21%増加、接続されたチャンネル数(エンドポイント数)は155%の増加となっている。

Slackコネクトのメリット。メールよりも安全に社外のパートナーとつながり、迅速な情報共有ができるとアピールしている

GMOインターネット:業務効率化基盤として採用、コネクトでグループ全社をつなぐ

 GMOインターネットのグループSV・シナジー推進室 室長として、企業理念やグループシナジーの実現をミッションとする佐藤氏は、グループ107社、7000名超の従業員が利用する共通のコミュニケーションインフラとしてSlackをどのように活用しているのか、そこにおけるSlackコネクトの価値とは何かを紹介した。

 GMOインターネット(本社)がSlackを正式導入したのは昨年、2021年8月のことだ。それ以前は2015年から、社内標準チャットとして「Chatwork」を利用していた(バックアップツールとして2020年から「Microsoft Teams」も併用)。まずはこの2015年のタイミングで「メールをなるべく削減し、チャットでのコミュニケーションをメインにしていく」という、大きな方針転換がなされた。

GMOインターネットでは、2015年に「メールからチャットへの移行」を考えてChatworkを利用開始した。昨年、それをSlackに変更した

 実は、従来使っていたChatworkに対しても「チャット機能については特段不満はなかった」(佐藤氏)という。それではなぜ新たにSlackを採用したのか。

 「GMOインターネットがSlackに注目したのは、いわゆるチャットツールとしてではなく『メッセージングプラットフォーム』というところ。チャットではできない、さまざまなアプリやツールを一気通貫につないでいく、そうした土台としての役割に注目し、Slackを導入した」(佐藤氏)

 同社の社内では、稟議、勤怠、工程、会議室といったさまざまな業務ツールが増え続けており、従業員の多くは、多数のブラウザタブを開いたままの状態で業務を行っていたという。これらのインタフェースを統合することを目的として、GMOインターネットではSlackを導入することにした。

導入理由その1(GMOインターネット本社として)。増え続ける業務ツールのインタフェースを統合する「メッセージングプラットフォーム」として、Slackを選択した

 一方で、グループとしては2020年1月に「グループ共通のコミュニケーションツール」としてSlackを活用する方針を決定した。新型コロナウイルス感染拡大に備えた在宅勤務体制への移行を検討するなかで、共通のコミュニケーションツールが必要であると判断したためだ。

導入理由その2(GMOインターネットグループとして)。在宅勤務態勢への移行に際してグループ全体の共通コミュニケーションツールが必要となり、Slackを採用/p>

 ただし、グループ107社がすべてSlackに移行するという方法はとらなかったという。それ以前の状況を見ると、Slackをメインで利用しているグループ会社は1割ほどで、残り9割は別のツールをメインで利用していた。

 「GMOインターネットグループでは、グループ全体が一つの大きなピラミッドを作るのではなく、グループ内にたくさんの小さなピラミッドを作ることで素早い意思決定と素早い行動を可能にする“梁山泊経営”のやり方をとっている。そのためコミュニケーションツールについても、トップダウンで一つのツールに決めるのではなく、各会社がそれぞれ自分たちの事業や経営に最適なツールを選び、導入していた」(佐藤氏)

 したがって、各社独自のコミュニケーションツールを利用することは制限せず、あくまでも「グループ各社間の共通ツール」という位置づけでSlackを採用することにした。ただし「これを機にSlackに乗り換える」会社も多く、現在ではSlackをメインで利用するグループ会社は全体の8割ほどになっているという。

共通ツールとしてSlackを採用する前後での利用状況の変化。現在はSlackをメインに利用するグループ会社が8割となった。サブツールとして使う会社も含めるとSlack利用率は100%

 ただし前述した“梁山泊経営”のポリシーにのっとり、グループへの導入時にも各社の主体性を尊重し、Slackの契約プランや運用ポリシーは統一を図らなかった。また、それぞれ個別のSlackワークスペースを持つ状態であり、グループ内の共通コミュニケーションツールとは言うもの、Slack上では“他社扱い”だった。「なかなか大変だな、というのがわれわれの感想だった」(佐藤氏)。

 そこでまずは、各社のSlack管理者が参加するチャンネルをSlackコネクトで共有し、すでにSlackを利用してきた管理者から新規採用した会社の管理者にアドバイスを行ったり、Slackコネクトを利用する際の標準手順を策定したりといった作業を行ったという。

Slackコネクトでグループ各社の管理者どうしをつなぎ、ノウハウの共有や標準手順の策定を行った

 なお、GMOインターネットグループがSlackを利用し始めた当時は、Slackコネクトの接続上限数は20組織だったが、今年になって最大250組織に拡大されている。「弊社(グループ外車)はまだ250に満たないので、もっともっと成長していい、というメッセージだと受け取っている」(佐藤氏)。

 佐藤氏は最後に、Slackを「業務効率化の武器」となるプラットフォームとして活用していること、グループ内各社の主体性を維持しながら多数のSlackコネクトチャンネルを通じてグループ内コミュニケーションを図っていることの2つが特徴だと締めくくった。

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