業務を変えるkintoneユーザー事例 第151回
業務分散と属人化の排除も成功した會澤高圧コンクリートの事例
kintoneで脱残業地獄 すき間時間を活用する「お仕事ビュッフェ」で脱1人運用
2022年08月26日 09時00分更新
kintoneのユーザー事例を披露する「kintone hive 2022」の第4弾にあたる「kintone hive sapporo 2022」が札幌で開催された。今回は5社目となる會澤高圧コンクリート畑野奈美氏による「1人から最強チームができるまで -kintoneと共に歩んだ8年間のお話し-」をレポートする。
毎日を気合いと根性で乗り切る日々を変えたkintone
會澤高圧コンクリートは、今年で創業88年目を迎える老舗で、北海道の苫小牧市に本社を構えている。社員数は640名で、日本国内に事業所が20カ所、製品工場が12カ所、生コン工場が11カ所があり、海外にも3拠点を展開している。
土木や建築用のコンクリート製品を販売するほか、近年ではバクテリアの力を使ってコンクリートに入ったひび割を埋める技術をはじめ、コンクリートの3Dプリンター、エンジンドローンの開発など、研究開発分野は多岐に渡っている。今回登壇した畑野氏は大手ハウスメーカーのプレキャスト住宅基礎を製造販売している部署で、運用オペレーションと製造図の作成、業務の改善などを担当しているという。
プレキャスト住宅基礎プロジェクトは2012年からスタートし、3年間の開発を終えて運用がスタートした。しかし、案件を管理するシステムが何にもなかったので、畑野氏が1人でオペレーションの設計を担当していた。「毎日を気合いと根性で乗り切る」という地獄の日々が続いたそう。
そんな時、上司が「面白そうなのがあるよ!」とkintoneを紹介してくれた。畑野氏はシステム開発どころかExcelも得意ではなかったが、もう待ったなしだったので、2014年7月、kintoneの無料お試しを申し込んでみた。
「早速使っていたExcelを読み込んでみたら、なんとびっくり。一瞬でアプリが完成し、歓喜、感動です。これに味をしめた私は、当時Excelで管理していた情報をどんどんアプリ化していきました」(畑野氏)
たとえば、「物件管理台帳」では、物件ナンバー、物件名、顧客コード、住所、建築面積といった簡単な情報を管理している。Excelで管理している時も同じだったのだが、こんなシンプルなファイルでさえ、現場のメンバーと共有しているうちになぜが壊れてしまうことが多かったそう。
もちろん、kintoneアプリに移行した後は、壊れてしまうことはなくなった。現在は管理する項目も増え、担当者がアプリを開けば、必要な情報が確認できるようになった。
「日付の管理もとても重要で、特に納品日関係は変更が多発します。当初はkintone標準のカレンダーを使っていましたが、物件数やメンバー数が増えると、物足りなくなりました。そこで、ラジカルブリッジさんの『カレンダーPlus』を使わせていただき、誰が見ても、混雑具合がぱっとわかるようになっています」(畑野氏)
製造や出荷の際、帳票関係を作成することが多く、以前はExcelから関数を使って力業で出力していた。現在はkintoneアプリ化し、ソウルウェアの協力を得て、CADの図面から製品情報をkintoneに吸い上げてデータベースを作成。トヨクモの「プリントクリエイター」を活用し、ボタン1個で帳票を出力できるようになっている。

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