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第7回 and SORACOM

「IoTはモノ同士だけじゃなく、人もつなぐ」は本当だった

レガシーな工場を可視化してきた中井さんと辻さんのIoTジャーニー

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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データを溜めた先になにが見えるのか?

 今回取材して印象的だったのは、本来ベンダーと顧客の担当者同氏にあたる辻さんと中井さんが、まるで同じ会社・同じ部門の同僚のように、IoTを仕掛けていくという関係だ。辻さんは、「いっしょに試行錯誤してくれるのが本当にありがたい。直接、現場の人から教えてもらうことも多いし、現場での声が商品開発につながるので、感謝しかないです」と語る。

 一方の中井さんは、「SIerに『IoTやりたい』というと、フルパッケージを持ってきて、『これ全部入れたら、IoTできます』って言うんです。で、なにができるの?って聞くと『IoTです』という答えが返ってきます。でも、辻さんはそんな答えは言わないです」と語る。逆説的だが、辻さんへの信頼感が伝わるコメントだ。

 PDCAサイクルを回し続ける必要のあるIoTプロジェクトでは、こうした伴走型のインテグレーションは今後も増えていくはずだ。

 さて次はどうなるのか? SORACOMを基盤として組み込んだIoT.kyotoのIoT事業を安定飛行までこぎ着けた辻さんは、半導体不足・デバイス不足にへこみながらも、次の成長を描く。「おかげさまでスマートファクトリーの分野では取引も増えてきたので、ここは引き続きソリューションを増やしていきます。一方で、毎秒数十万レコードをデータベースにリアルタイムに登録するみたいな大規模プロジェクトやニーズの高いデータレイクも実績を上げていきたいし、AIやコンピュータービジョンの事例も増やしたい」と辻さんが語る。

 一方、トーア紡としての次のフェーズは、やはりデータ分析だ。工場でとったさまざまな数値を指標化したり、機械の予兆保全に活かしたり、操業の効率化に活用したい。「メーカーなので、工場をよくしていきたいんです。『IoTをやったから、ものづくりがよくなった』という風に持っていけたらいいですね」と中井さんは語る。

 さて、データが溜まった製造業の先にあるのはなにか? 最後は取材中に飛び出した二人のディスカッションで締めていきたい。

辻:いろんなお客さんとデータを溜まったらどうする?という話はするのですが、なかなか一足飛びには進まんですね。そこは課題やなと思ってます。取り出し方はいろいろあるんやけど、活用の仕方はモヤモヤしますね。

中井:今はメーターを付けて機械のご機嫌を探っているけど、究極は工場で機械のとこ行ったら、機械が語りかけてくるくらいまでやりたいなあ。

辻:完全にSFや(笑)。

中井:いや、でもデータとったらできそうやん。機械の方が『なんや、今日調子悪いねん』って言うてくれるみたいな世界。

辻:そんなら、あまり時間かからんかも。

中井:それこそ『調子悪かったから部品、頼んどいたで』までいったら、ええな(笑)。


(提供:ソラコム)

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