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立体組織中の細胞の動きをシミュレーションで再現=金沢大など

2022年05月30日 05時29分更新

文● MIT Technology Review Japan

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金沢大学と北海道大学の研究グループは、立体組織の中を細胞の塊(クラスター)が動く物理的な仕組みをコンピューター・シミュレーションで解明した。培養皿上の平面的な動きや関連する遺伝子については研究例があったが、立体組織中を細胞が動く仕組みについては未解明だった。

金沢大学と北海道大学の研究グループは、立体組織の中を細胞の塊(クラスター)が動く物理的な仕組みをコンピューター・シミュレーションで解明した。培養皿上の平面的な動きや関連する遺伝子については研究例があったが、立体組織中を細胞が動く仕組みについては未解明だった。 研究グループは、細胞の三次元的な動きを予測する独自のシミュレーション技術を開発。コンピューターを使ったシミュレーションの結果、細胞の塊が動く仕組みとして、1つ1つの細胞の界面張力の偏りが働いていることを突き止めた。細胞の界面張力が偏ることで、細胞と周囲との界面に一方好適な流れを生じさせ、それが推進力となっていたという。 さらに、コンピューター・シミュレーションでは、複数の細胞がバラバラに移動するパターンや、塊で移動するパターン、数珠状に連なって移動するパターンなど、がん浸潤や胚発生の際に確認できる複数の異なる動きのパターンを再現できた。 研究成果は5月6日、「バイオフィジカル・ジャーナル(Biophysical Journal)」誌にオンライン掲載された。今回の成果は再生医療の発展や、がん疾患の根本的な理解や新薬の開発などに役立つと期待されている。

(笹田)

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