このページの本文へ

東工大、給電せずに電気分解反応を駆動する手法を開発

2022年06月01日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京工業大学の研究チームは、電解液の送液によって生じるエネルギーを利用して有機化合物の電気分解反応(電解反応)を駆動する手法を開発した。さまざまな有機化合物の電解反応への応用が期待でき、環境負荷の低い化学反応法として有望なほか、電力の届かない極限環境で電解反応を実行するデバイスとしての発展も期待できそうだ。

東京工業大学の研究チームは、電解液の送液によって生じるエネルギーを利用して有機化合物の電気分解反応(電解反応)を駆動する手法を開発した。さまざまな有機化合物の電解反応への応用が期待でき、環境負荷の低い化学反応法として有望なほか、電力の届かない極限環境で電解反応を実行するデバイスとしての発展も期待できそうだ。 研究チームは、希薄電解液をマイクロ流路に送液する際に生じる「流動電位(流路の上流と下流の電位差)」を利用して電極上での電気分解反応を駆動する技術を開発。さらに、同技術を用いて、芳香族化合物の電解重合(有機化合物の電解反応により高分子化合物を与える反応)を実行することにより、導電性高分子を得ることに成功した。 マイクロ流路に希薄電解液を送液すると発生する流動電位についてはこれまでも知られており、分析機器などにおいて数十ミリボルト(mV)程度の流動電位が用いられてきた。東工大の研究チームは、流路の材質をはじめ、さまざまな有機溶媒と電解質の組み合わせや濃度を検討することで、電解反応の駆動に十分な3ボルト程度の流動電位を発現させた。 近年の環境・エネルギー問題の解決に向けた取り組みとして、有害・危険な試薬を用いる化学反応を、クリーンかつ安全な電解反応に置き換えることが望まれている。ただ、電極に給電するための電源装置の導入や配線の煩わしさなどが課題となっている。 今回の研究成果は5月27日付けで、コミュニケーションズ・ケミストリー(Communications Chemistry)誌にオンライン掲載された。

(中條)

 

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ