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東北大が金属負極蓄電池の実用化へ一歩、針状析出の発生を抑制

2022年05月24日 06時41分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、リチウムやナトリウムを用いたアルカリ金属負極蓄電池において、リチウムやナトリウム金属の針状析出の発生を抑制することに成功した。アルカリ金属負極電池の実現に向け、性能と安全性を向上させる新しい電解液設計の重要な指針を与えるものだ。

東北大学の研究チームは、リチウムやナトリウムを用いたアルカリ金属負極蓄電池において、リチウムやナトリウム金属の針状析出の発生を抑制することに成功した。アルカリ金属負極電池の実現に向け、性能と安全性を向上させる新しい電解液設計の重要な指針を与えるものだ。 蓄電池の負極電極材料候補の中で、金属負極は最も高い電荷容量密度を有しており、現在主流の炭素系負極よりエネルギー密度を大幅に向上できる。だが、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属元素は、電極付近の濃度・電場分布の変動により、針状の様な樹枝状結晶(デンドライト)が形成され、電極から剥がれやすく、電池内部で短絡を引き起こし、サイクル寿命を低下させてしまう問題がある。 研究チームは、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩をリチウムイオンやナトリウムイオンを含有する電解液に添加することにより、一価カチオン(陽イオン)の溶媒和構造が改変され、リチウムやナトリウム金属析出の活性化過程が制御されて、平坦な析出形態を維持できることを発見。多価イオンの導入により、一価のリチウムイオンやナトリウムイオンはアニオン(陰イオン)とより強く結合する傾向があることを示した。 研究成果は、セル・レポーツ・フィジカル・サイエンス(Cell Reports Physical Science)誌に、2022年5月20日にオンライン掲載された

(中條)

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