このページの本文へ

「呼気」を使った個人認証、東大・パナソニックなどが原理実証

2022年05月23日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京大学、九州大学、名古屋大学、パナソニック インダストリーの研究グループは、人間の呼気による個人認証の原理実証に成功した。指紋や静脈を利用した生体認証は、パスワード認証に比べてセキュリティ強度が高いことから利用例が増えているが、外傷による変化に対応しにくいことと、精巧な複製物を作られるとセキュリティを破られてしまう危険性がある。その点、呼気は外傷による影響を受けず、複製も極めて困難であることから、さらにセキュリティ強度が高い手法と言える。

東京大学、九州大学、名古屋大学、パナソニック インダストリーの研究グループは、人間の呼気による個人認証の原理実証に成功した。指紋や静脈を利用した生体認証は、パスワード認証に比べてセキュリティ強度が高いことから利用例が増えているが、外傷による変化に対応しにくいことと、精巧な複製物を作られるとセキュリティを破られてしまう危険性がある。その点、呼気は外傷による影響を受けず、複製も極めて困難であることから、さらにセキュリティ強度が高い手法と言える。 研究グループはまず、ガスクロマトグラフ質量分析計を使用して、人間の呼気ガスの成分を分析した。その結果、個人ごとに異なる呼気成分のパターンが存在することを発見した。 続いて、16種類のそれぞれ異なる性質を持つ高分子材料と、導電性カーボンナノ粒子の混合物で人工嗅覚センサーを作製。このセンサーは分子が吸着するとセンサー材料の体積が膨張し、導電性カーボンナノ粒子同士の距離が広がることで電気抵抗が増加する性質を利用したものだ。 さらに人工嗅覚センサーで取得したデータを機械学習で分析。6名を対象に実施した実験では、平均97.8%の精度で個人を識別できた。別の日に実験を実施しても、対象人数を20名に増やしても、認識精度はほぼ変わらなかった。 研究成果は5月20日、「ケミカル・コミュニケーションズ(Chemical Communications)」誌にオンライン掲載された。さらに多人数を対象とした実証実験や、食事などによる認証精度への影響を抑えることが今後の実用化への課題だという。

(笹田)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ