新横浜ラーメン博物館のウラ話 第9回

ラー博にまつわるエトセトラ Vol.4

創作ラーメンイベントはこうして始まった(前編 ラー博八人の料理人創作シリーズ)

文●中野正博

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 みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。

 前回の記事はこちら

「食べ歩き」という新たなレジャーを作り上げた「ミニラーメン」

 過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話

 今回は、創作ラーメンイベントについてです。

 今でこそ限定メニューや町ぐるみのスタンプラリーなどが行なわれるようになりましたが、25年ほど前まで、ラーメン店において限定メニューの発売などあまりなく、夏になると冷やし中華が発売されるということぐらいしかありませんでした。

 ラー博も同様で、オープン時はあくまでも店舗のメイン商品を提供するというのが一般的でした。

 そんななか、1997年11月5日から「ラー博八人の料理人創作シリーズ」という企画がスタートしました。

 当館ではこれまで数多くの企画が開催されましたので前編、中編、後編の三部作でご紹介いたします。

 前編では「ラー博八人の料理人創作シリーズ」にフォーカスしてご説明いたします。

 この企画は全国の名店の店主が一堂に会している私たちの施設だからできる企画で、第1弾は「八味八旬」というテーマをもとに、各店がオリジナル具材を創作するという企画でした。

 手前味噌ですが、今思えばかなり早い時期にこのような企画を実施していたのだと感じます。

 下記の画像は当時のニュースリリースの抜粋です。なかなか魅力的じゃないですか?

 ちなみにこの企画は第2弾、3弾も行なわれました。

 第2弾は「拌麺(ばんめん)」。当時「油そば」が注目を浴びており、拌麺とは油そばやまぜ麺、スープオフ、汁なし麺、和え麺などのルーツであり、冷やし中華のルーツでもあると考えられます。

 その拌麺を各店が創作するというものでした。

 全国の銘店が今では味わえない創作和え麺を開発しました。今思うとかなり手の込んだメニューを開発しておりました。今でこそ味わいたいですね。

 下記はその当時のメニュー写真です。

 そして第3弾は「年越しラーメン」。

 コンセプトは通常提供しているレギュラーメニューとは全く異なる趣向で創作するというもので、飛騨高山では年越しにラーメンが食べられるという文化があり、その文化にちなんで各店で年越しラーメンを発売しました。ちなみに「年越しラーメン」という言葉自体はおそらくこの企画から生まれたのではないかと思います。その後、年越しラーメンは年末の期間限定メニューとして毎年ではありませんが発売しております。

タイトル:いつもと違うこの一杯「ラ博の年越しラーメン」
期間:1997年12月1日(火)~12月29日(火)平日限定 各店30食限定

 下記は当時のニュースリリースの一部を抜粋したものです。ちなみに札幌「すみれ」が提供したこのメニューは現在一部の店舗で提供されている「昔ラーメン」の原型なのです。

 次回は中編としてスタンプラリーなどの全店イベントについてお話ししたいと思います。

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文/中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。