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BA.2株の病原性はBA.1株と同程度、東大がオミクロン株を比較

2022年05月19日 18時01分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学医科学研究所の研究チームは、現在流行しているBA.2系統に属するオミクロン株(オミクロン/BA.2株)を患者から分離し、その性状を解析した。その結果、オミクロン/BA.2株を感染させた動物では、体重減少と呼吸器症状の悪化がみられないなど、病原性は従来株よりも低く、2021年12月から2022年2月にかけて流行していたBA .1系統のオミクロン株(オミクロン/BA.1株)と同程度であることが明らかとなった。

東京大学医科学研究所の研究チームは、現在流行しているBA.2系統に属するオミクロン株(オミクロン/BA.2株)を患者から分離し、その性状を解析した。その結果、オミクロン/BA.2株を感染させた動物では、体重減少と呼吸器症状の悪化がみられないなど、病原性は従来株よりも低く、2021年12月から2022年2月にかけて流行していたBA .1系統のオミクロン株(オミクロン/BA.1株)と同程度であることが明らかとなった。 同チームは、患者から分離したオミクロン/BA.2株を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の動物モデル(マウスおよびハムスター)を用いて評価し、パンデミック初期の流行株(従来株)およびオミクロン/BA.1株と比較した。その結果、オミクロン/BA.2株は、マウスやハムスターの上気道および下気道部で増殖するものの、増殖力と病原性は、従来株よりも低く、オミクロン/BA.1株と同程度であった。 さらに、抗体薬のカシリビマブ・イムデビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブ、ソトロビマブや、抗ウイルス薬のモルヌピラビル(メルク)、ニルマトレルビル(ファイザー)、S-217622(塩野義製薬)は、オミクロン/BA.2株を感染させたハムスターの肺における増殖を抑えることも明らかにした。 2021年末に新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株が南アフリカで確認されて以降、現在(2022年5月時点)も本変異株による爆発的流行が世界規模で続いている。オミクロン株の流行が始まってから数カ月間は、BA.1系統に属する株が世界の主流だったが、2022年1月上旬からBA.2系統に属する株の感染例が増加し始め、2022年5月現在はオミクロン/BA.2株が世界で最も流行している。 研究成果は、英科学雑誌「ネイチャー(Nature)」オンライン版で2022年5月16日に公開された

(中條)

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