Dell Technologies World 2022開催、マイケル・デル氏「未来は『マルチクラウド』にある」
デルの新製品発表、「マルチクラウド」と「レジリエンシー」を重視
2022年05月12日 07時00分更新
パブリッククラウド上でデルのストレージを動かす「Project Alpine」
今年1月に発表された、デル・テクノロジーズのストレージソフトウェアをパブリッククラウド上で動作させる「Project Alpine」のライブデモも披露された。現在はテクニカルプレビューとして提供されており、今年下半期には一般提供開始を予定している。
Project Alpineは、AWSやAzureといったクラウド上でエンタープライズクラスのプライマリストレージを提供することを目的とした開発プロジェクトだ。重複排除、レプリケーション、スナップショットといった高度なデータサービスが利用できるほか、オンプレミスのストレージ管理と同じツールやスキルセットが使える、一貫性のあるオペレーションが実現する。
基調講演では開発中のインタフェースを使ったライブデモが披露され、簡単な操作でボリュームの作成やオンプレミスストレージからのデータのコピーができることを説明した。またユースケースの一例として、オンプレミスのカメラ映像をクラウドにレプリケーションし、クラウド上でAIのトレーニングを行ったうえで、その画像認識モデルをローカルで動かすといったものが紹介された。
「PowerMax」ではセキュリティ/レジリエンシーを大幅強化
2日目には、同社のストレージポートフォリオ「Dell PowerStore」「Dell PowerMax」「Dell PowerFlex」各製品における機能強化(OSアップデート)が発表された。今回は、3製品の合計で500以上の新機能と機能強化が図られ、適合性/回復性/柔軟性の3つを核とする“ソフトウェアドリブンなストレージのイノベーション”というキーワードを掲げている。発表された強化機能群は今年第3四半期に全世界で提供開始予定。
ハイエンドストレージのPowerMaxでは、最新OS(PowerMax OS 10)で200以上の機能が追加された。データボールト機能の搭載などサイバーレジリエンシー機能の強化、管理者に対する多要素認証、「CloudIQ」によるランサムウェア攻撃の早期検出などの機能によって、“世界で最もセキュアなミッションクリティカルストレージ”をうたう。加えて、4:1のデータ削減率を保証する重複排除/圧縮、1アレイあたり最大6500万回のスナップショットといった特徴も持つ。
なおNVMeモデル2機種では、新しいインテリジェントマルチノードスケールアーキテクチャを採用しており、従来モデル比で2倍のパフォーマンスと最大50%のレスポンスタイム短縮を実現している。加えて、「Anytime Upgrade」により無停止でのインプレースアップグレードが可能であり、持続的な最新化にも対応できる。
デル・テクノロジーズ 副会長兼共同COOのジェフ・クラーク氏は、「内蔵のAIエンジンによって1日に60億件もの判断が行われるなどインテリジェンスと自動化機能を強化しており、多くの基本的なストレージ管理タスクが省力化される」と説明した。
ミッドレンジのPowerStoreでは、最新OS(PowerStore OS 3.0)で120以上の機能追加となった。最新アーキテクチャの採用で混合ワークロードのパフォーマンスが最大50%向上し、クラスターあたりの容量は前モデル比で最大60%増大している。またファイルレプリケーション機能、ランサムウェア保護機能、VMware vVolsのレイテンシーやパフォーマンスの向上、NVMe over TCPにも対応する100GbE採用によるパフォーマンス向上といった進化点もある。
SDI(Software-Defined Infrastructure)製品のPowerFlexでは、最新版(PowerFlex OS 4.0)で200以上の機能強化がなされた。新しいファイルストレージサービスも統合され、ベアメタル/仮想化の両環境にファイル/ブロックストレージを提供することで、既存のワークロードやコンテナ化されたモダンワークロードを連結し、大きなTCO削減を実現するとしている。またNVMe over TCPストレージネットワーキングによる導入の簡素化、VMwareや主要パブリッククラウドのKuberenetesに対応したマルチクラウド環境への対応といった特徴がある。