
EOS R6に16mmをつけて近寄ったら「なんだなんだ」とのぞきこんできたうちの黒猫ミル。超広角なので近くにある鼻が大きく撮れる……んだけど黒猫なのでよくわからない。2022年5月 キヤノン EOS R6
前回、キヤノンの「EOS R6」に100-400mmの望遠ズームを付けて猫を撮るぞって話をしたのだけど、今回はまったくの真逆。超広角で猫を撮るのだ。
今回はEOS R6に、軽くてコンパクトで安いレンズシリーズの最新作「RF 16mm F2.8 STM」(キヤノン製)。ミラーレス一眼時代ならではの、レンズの収差をカメラ内で現像時に自動補正するというデジタル技を駆使し、超広角レンズとしては斬新な小型サイズを実現したのである。
超広角はぐぐぐっと寄れる猫向き。背景が広く写るのでその場の雰囲気も出せるし、すごく近い距離感で撮れる。しかも軽いので扱いやすい。予想以上に猫を撮ったら楽しかったのだ。
これは前回望遠レンズで撮ったのと同じ猫。超広角だと雰囲気が全然違う。
でもこういう写真はよほど人なつこい猫じゃないと無理だよね、ってことで「保護猫シェルター QUEUE」にお邪魔した。午後のお昼寝まったりタイム。両前足を大きく前に出してへちゃっとつぶれてた黒猫がいたので、そのへちゃっぷりがわかるように撮ってみた。近くのものは大きく遠くのものは小さく撮れる……、それが遠近感が強く出るってことなのだけど、それが独特の雰囲気を作ってくれるのだ。
お次はキャットタワーでお昼寝してるふさふさの猫。顔と足が違う穴からはみ出してるのが味わい深くてちょっと上から撮ったもの。かなり近寄ってるので起こさないよう慎重に。
こんな無防備な姿をぐぐっと寄って撮れるのはやはり飼い猫でしょう。ってことで、飼い猫の特権レンズである。冒頭写真はうちの黒猫ミルにぐぐっと寄って撮ったもの。だいたいこのくらい寄れるのだ。レンズが近づくと猫はそれに反応してちょっかい出したり、いやがったりあれこれするのだけど、そこは猫瞳AFにがんばってもらって、瞳にフォーカスを合わせ続けて一番飯タイミングでシャッターを押すべし。
こちらはレンズにちょっかいを出してきた瞬間。
超広角で近距離でピントも合うレンズで、しかも薄い(つまりカメラからあまり飛び出さない)となると膝猫である。猫が膝に乗ってきてもOKなのだ。うちのキジトラかふかが膝に飛び乗ってきたときに撮ったカットがこちら。ちゃんと膝猫も撮れるのだ。
でも、膝に乗った猫が向こうを向いちゃうと……さすがに難しい。そんなわけで最後の1枚は秘技「カメラの上下逆さ持ち」で。
膝に乗って右を向いてる猫を撮るには右手でカメラを持たなきゃいけないのだけど、カメラのシャッターボタンは右側についてるので、カメラを自分に向けて右手で持つってのは普通の手では困難極まりないのだ。
そういうときは上下逆さに持つのである。そして親指でシャッターを押すのだ。画面は見えなくても「超広角だからなんとかなるさ」、手ブレしやすい体勢だけど「手ブレ補正あるからなんとかなるさ」でOK。たぶんOK。いやあまりよくないけど、その辺は臨機応変に。
そして撮ったのがこちら。カメラ目線は外されたけど、無事膝猫自撮りである。
かくして、超広角レンズって風景を広く撮るとか室内を広く撮るとかそういう使い方をしがちだけど、実は猫飼いにもたまらんのであった。EOS Rシリーズを持ってる猫飼いさんは要注目。
飼い猫ならではの、臨場感ある写真を撮れる超広角飼い猫スナップレンズだったのである。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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