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格安自作PCの性能をGIGABYTEマザーで検証

インテルのチップセットはB660とH610のどっちがいいの?

文●宮里圭介 編集●北村/ASCII

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動画エンコードや写真現像は待てる人ならアリ

 動画や写真編集は、CPU性能が重要となる用途のひとつ。CPU性能が低いとプレビューに時間がかかるほか、編集した動画の書き出し、形式の変換などで長時間待たされたりすることになる。

 正直なところ、Pentium Gold G7400は性能が高くない2コア/4スレッドCPUとなるため、こういったクリエイティブ用途には向いていない。とはいえ、長い待ち時間に耐えられるのであれば、できないわけではない。

 4K映像素材6時間分を20分の動画に編集する、という本格的な用途は難しいものの、短いフルHDのクリップからいらないシーンを削除する、といった簡易編集であれば十分実用になる。

 最も待ち時間が長くなるのは、動画のエンコードだ。実際どのくらいの時間がかかるのか、フリーで使える動画エンコードソフトの「HandBrake」を使って試してみよう。

 映像ソースとしたのは、約2分59秒の4K(60fps)動画。これをフルHDのH.264(プリセットの「Fast 1080p30」を使用)と、フルHDのH.265(プリセットの「H.265 MKV 1080p30」を使用)で変換したときにかかる時間を調べてみた。

HandBrakeを使った動画変換は、チップセットの差はなし。3分に満たない動画だが、H.264でも16分44秒もかかってしまっている

 映像ソースは約2分59秒と短いものだが、H.264への変換でも16分44秒、H.265への変換では33分34秒もかかってしまっていた。実時間と比較すると、H.264なら5倍以上、H.265であれば11倍以上の時間がかかる計算だ。

 たまに動画を作る程度であれば我慢できるが、趣味として日常的に使うとなると、かなり厳しい。

 もうひとつ、写真の現像作業も行ってみよう。手元のデジカメがキヤノンということもあり、RAW現像ソフトとして「Digital Photo Professional 4」を使用。5184×3456ピクセルのRAW画像(CR2)100枚を用意し、画質10で単純にJPEG画像として出力するのにかかった時間を調べてみた。

「Digital Photo Professional 4」で100枚の写真を現像。どちらのチップセットでも、11分29秒で現像が終わった

 単純な現像であればそこまで時間もかからず、十分実用的な範囲。しかし、プレビューが若干もたつく感があるなど、快適というわけではない。より凝った調整で現像するならそれだけ時間がかかることが予想されるだけに、Pentium Gold G7400よりもいいCPUを選ぶ方が快適だ。

 動画や写真に興味があり、どんなことができるのか試してみたい、というような人であれば多少の待ち時間は我慢できると思うが、それを趣味にし、普段からバリバリ活用したいと考えているなら不向きだ。

将来のアップグレードを考えるならB660
コスパを追求するならH610が最適

 チップセットの違いによる性能差を検証してきたが、結論は、「B660とH610のどちらを選んでも、PCの性能は変わらない」というものだ。

 ただし、これはあくまで「コスパ重視の格安エントリーPC」としての構成での話。PCIe 4.0の性能が意味を持つハイスペックなゲーミングPCとなれば、B660の方が有利になる。

 将来CPUを換装し、ビデオカードも増設。SSDもより高速なPCIe 4.0×4対応を選びたいと考えているなら、迷うことなくB660を選んでおくといいだろう。とくに「B660M D2H DDR4」は有線LANが2.5Gbpsに対応しているなど、オンボード機能の面でも魅力がある。

 これに対し、一般用途で快適に使えればよく、なによりコスパを重視したいというのであれば、H610がいいだろう。「H610M S2H DDR4」は「B660M D2H DDR4」と比べ、実売で2000円ほど安くなるだけでなく、映像出力を多数登載しているというメリットがある。ビデオカードを増設せずにマルチディスプレー表示が可能となるため、学習や仕事用として、専用PCが欲しいと考えている人にピッタリだ。

B660とH610チップセットでは、PCの性能は変わらないので、有線LANが2.5Gbps対応である必要があるかどうか、PCIe 4.0×4対応SSDを使うか使わないか、将来拡張する予定があるかないかで判断しよう

 自作PCは難しいと感じてしまいがちだが、実際にチャレンジしてみると意外と簡単。そんな最初の1台として、コスパ重視のPCを組んでみてはいかがだろうか。きっと楽しめるはずだ。

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