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業界人の《ことば》から 第480回

カンパニー制廃止のパナソニックが持株会社制ではなく事業会社制であるとする意味

2022年04月11日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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原価力の改善にはまだ余裕がある

 2022年4月1日にオンラインで会見を行ったパナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、ここでいくつかの姿勢を打ち出した。

 ひとつはパナソニックグループとしての中期的な経営指標を打ち出した点だ。

 ここでは売上高や単年度の営業利益目標は打ち出さなかったものの、2022年度~2024年度までの累積営業キャッシュフローで2兆円、累積営業利益で1兆5000億円、2024年度のROE10%以上を目標に掲げた。

 楠見グループCEOは、「これまでの3年間は、売上げや利益、営業利益率が中期計画の中心になり、それを達成することが目的化していた。新たな中期計画では、最初から、営業利益率などの目標は設定するつもりはなかった」としながら、「将来の社会へのお役立ちに向けて、十分な投資を行うためにはキャッシュ創出力が重要である。それを推し量る指標として、累計営業キャッシュフローの目標を設定した」とする。

 累積営業利益目標の水準は、過去3年間と比べると1.5倍以上になる。

「いままでの実績に比べると、意欲的な目標に見えるかもしれない。だが、原価力にはまだ改善の余地がある。目線をここまであげて、改善につぐ改善をやっていくことになる」とする。

 原価力改善の余地を象徴するのが、この2年間に渡る中国家電事業での実績だ。

 パナソニックは、家電商品の原価を20%以上低減し、競争が激しい中国市場においても利益を出しながら、価格で戦っていける商品を生み出したという。

 「この事例からも、グループとしてコスト力や収益力を高める余地があるという手触り感を得ている」と、楠見グループCEOは語る。

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