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日々の活動が好きなチームのスポンサー費にもなる 次世代応援サービス「en-chant」とは?

2022年03月30日 12時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP

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 昨今、さまざまな形のスポーツチーム支援サービスが登場している。その中で、チームとファンだけでなく、スポンサーにまで着眼したサービスがシナジーマーケティング株式会社の「en-chant」だ。今回は、このen-chantについて紹介する。

プロジェクトに参加してスポンサーとチームの両方を支援

 en-chantは、CRMのクラウドサービス事業を行うシナジーマーケティングが2021年7月から提供している「ファンの応援の力を活用して、スポーツチームやスポンサーの課題を解決するサービス」だ。

 en-chantには、スポーツチームとスポンサー企業が企画したさまざまな応援プロジェクトが掲載されている。プロジェクトは市場調査のためのアンケートや、指定の商業施設での買い物や飲食といった簡単な内容になっている。ファンがこれらのプロジェクトに参加し、購買などのアクションを行うことで、スポンサーからチームにスポンサー費が渡るという仕組みだ。

 例えば、2021年7月から9月にかけて、シナジーマーケティング株式会社がスポンサーとなり、サッカーJリーグチームの名古屋グランパスエイトと「グランパスアカデミー応援プロジェクト」を実施。プロジェクトの内容は「en-chantに関するアンケートに答える」というもので、アンケート1件当たり250円がアカデミー運営費としてチームに支払われるという内容だった。

 最終的に「グランパスアカデミー応援プロジェクト」には2075人のファンが参加し、51万8750円のスポンサー費が支払われた。このように、多くのファンが参加すればするほどチームも潤う。スポンサーにとっても認知向上のみならず、イメージアップと顧客獲得につながり、ファンもチームを間接的にではあるが応援できるという、三方良しとなるサービスだといえる。

水面下だったファンのスポンサー支援を可視化

 責任者である井町雅一氏は「スポーツチームとスポンサーが抱える課題解決がen-chantの目的」と話す。まずチーム側の課題として挙げられるのが「スポンサー契約の獲得、既存契約スポンサーの満足度向上」だ。井町氏によると、コロナの影響もあり、スポンサー獲得で苦境に立つチームが増えているという。一方、スポンサー側も「ベネフィットを有効に活用できず、効果が実感しづらい」という問題を抱えている。

 チームとしては、スポンサーのためにファンに何かアクションを起こしたいところだが、例えば「〇〇の商品を買ってほしい」と声高にアピールするのは難しい。また、スポンサー企業がチームのファンに訴求することも簡単ではない。しかし、上述のように、en-chantであれば、スポンサーを通してファンがチームを応援するという、これまでとは違った形での支援が可能になり、チームとスポンサーの課題解決にもつながる。

 また、ファンとしても、スポンサーの商品を買うなど、スポンサーを意識しているファンも多くいる。こうした熱心なファンのアクションを「プロジェクトの参加」という形で可視化すれば、応援もしやすくなり、「私も参加したい」というファンも増えるだろう。アンケートなど手軽に参加できるプロジェクトの場合、遠方でも参加しやすいこともあり、ファンからも好評を得ているそうだ。

プロジェクトに参加すると、チームからのお礼のメッセージと応援金を利用した結果が送られてくる

参加チームはen-chantを高く評価

 名古屋グランパスエイトでは他にも「豊田市駅前のコモ・スクエアという商業施設で買い物や飲食をすると、レシート金額の10%がチームの施設運営の維持費用として支払われる」という取り組みも実施した。残念ながらコロナの影響もあり目標金額には到達しなかったが、スポンサー側から「次はどのように実施するのか」という声が早くも挙がるなど高く評価されている。

  名古屋グランパスエイト以外にも、B.LEAGUE所属の西宮ストークスともプロジェクトを行っている。西宮ストークスでは「STORKS CONEST(ストークス コネスト)」という、“水”と“子ども”をテーマにしたホームタウンを盛り上げる活動をチームで行っており、その活動の一環にen-chantが役立っている。

 ホームゲームが行われる体育館の飲食ブースで買い物をすると、金額の一部が「STORKS CONEST」の活動資金になるというもので、活動資金が地域の子どもたちのためにゴールやビブスを届けるために使用する予定だ。西宮ストークスの『en-chant』を活用したホームタウン活動は、同じようにホームタウンとの協力を模索するスポーツチームの参考になるだろう。

 プロジェクトに参加している名古屋グランパスエイトからは「まだ規模は小さいが、これからに期待している。一緒にサービスを育てていこう」、西宮ストークスからは「順調なスタートとなり良い取り組みができている実感がある。もっと取り組みを大きくしていきたい」と高く評価されており、井町氏も手ごたえを感じているという。今後も「日常生活の中で好きなチームを応援する応援するといった取り組み」をチーム、スポンサーと模索していくとのことで、どのようなプロジェクトが生まれるのか注目したいところだ。

 en-chantは、日常のわずかな活動やアクションをチームとスポンサーの応援につなげることのできる新しい形のファン参加型サービスだ。ファンも従来以上に「応援している」という実感が得られるなど、サポートのし甲斐が増すだろう。en-chantがチームとスポンサー、ファンをつなぐ新しいプラットフォームになることを期待したい。

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