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大量製造のカーボンナノチューブで有機太陽電池を開発=名古屋大

2022年03月18日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学の研究チームは、名城ナノカーボンと共同で、国産で大量製造されているカーボンナノチューブを用いて、有機薄膜太陽電池を開発することに成功した。有機系太陽電池の作製に必要な透明電極として一般に用いられる、希少元素であるインジウムを含むインジウムスズ酸化物が不要となる。

名古屋大学の研究チームは、名城ナノカーボンと共同で、国産で大量製造されているカーボンナノチューブを用いて、有機薄膜太陽電池を開発することに成功した。有機系太陽電池の作製に必要な透明電極として一般に用いられる、希少元素であるインジウムを含むインジウムスズ酸化物が不要となる。 研究チームはこれまでも、カーボンナノチューブ電極を用いて有機薄膜太陽電池を作ってきたが、将来の大面積化や大量製造を見据えて、最新のウェットプロセス成膜手法であるスプレー塗布に注目した。さらに、スプレー塗布で成膜したカーボンナノチューブ薄膜を酸に触れされることにより陽子を結合させ、カーボンナノチューブに正孔(正の電荷)を注入して正孔捕集能を向上。有機薄膜太陽電池としては中程度の4.9%のエネルギー変換効率を得た。 この研究成果は、2022年3月9日に応用物理学会刊行の欧文雑誌「Applied Physics Express」オンライン版に掲載された。ペロブスカイト太陽電池など、他の有機電子素子での利用も可能であり、次世代太陽電池の実用化に寄与すると期待される。

(中條)

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