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最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第32回

「高品質で美しい」だけではない、ディスプレイというジャンルをを超えた価値

アップル「Studio Display」ですべてのMacが生まれ変わる【本田雅一】

2022年03月18日 12時00分更新

文● 本田雅一 編集●飯島恵里子/ASCII

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Studio Displayは、オプションで傾きと高さを調整できるスタンドが用意されている

A14 Bionic搭載による実際の効果とは?

 Studio Displayを使い始めると、それまでの外部ディスプレイではみられなかった機能が加わっていることが、macOSの機能設定からうかがい知ることができる。

 True Toneに対応しているのはもちろんだが、MacBook Proの14インチ/16インチモデルで導入されたリファレンスモードが設定できた。業界標準のさまざまな規格に合わせ、ディスプレイの特性を切り替えることができる。Studio Displayの最大輝度は600nitsであるため、HDRの標準規格(例えばHDR10など)には対応しない。しかしSDRの業界標準はほぼカバーしており、色再現域もP3までが確保されている。

カウンターバランスアームにより30度まで傾き、高さを105mmまで調整できる

 標準設定は600nitsを最大としたアップル独自の設定で、こちらは周囲の明るさに連動してトーンカーブが自動設定される。最大輝度こそ異なるが、環境が変化しても見え味が一定になるよう作り込まれているのは同じだ。

 なお業界標準特性を選んだ場合は、ホワイトポイントの補正データなどを入力することが可能で、カラーメーターなどで測定した上で補正をかけることもできる。

 内蔵マイクの品質も高い。アップルは評価機に内蔵マイクでマルチトラック録音した音楽トラックをインストールしていたが、録音用マイクを使い自宅スタジオで録音したかのようだ。ビームフォーミングがよく効くだけではなく、オンライン会議で使うとある程度マイクからの距離があっても鮮明に、的確に音声を拾ってくれる。

 1200万画素の内蔵カメラは122度の画角を持つ超広角カメラで、センターフレーム機能に対応している。センターフレーム機能はM1搭載iPad Proで初めて採用されたもので、機械学習でフレーム内の人物を把握し、一人でも複数人数でも自動的にフレーミングをする機能だ。

 もちろんホワイトバランスやノイズ処理、色のなめらかさなどはiPhone譲り。市販されているUSB接続のウェブカメラで、この画質や機能を超えるものを筆者は知らない。

Studio Displayは、片チャンネルあたり2個のウーファーユニットを対向に配置

 素直な音質の内蔵スピーカーも出色の音質だ。内蔵スピーカーは、片チャンネルあたり2個のウーファーユニットを対向に配置して振動をメカニカルにキャンセルするMacBook Proにも使われている技術を採用。ツイーターを加えた2ウェイ3ドライバ構成で、システム全体では6つのドライバを内蔵している。

 その音質は素直かつ誇張のない音作りで、空間オーディオの再現性なども含め、かなり細かく音のバランスが管理されていると感じた。素直な分だけ最低域の再生では急な減衰を感じるが、27インチiMacに感じていた「ゆるく遅い低音」は聞かれなくなり、全体にスッキリとバランスよく、聴きやすい音場が形成される。

 何より空間オーディオの再現性においては、アップル製品の中では圧倒的なナンバーワンと言って過言ではない。映像作品の場合、LFEなどの低音再生まではカバーできないため、やや迫力不足となる場面もあるが、セリフなど重要な音は明瞭かつサラウンド音声の包囲感もいい。

 この内蔵スピーカーよりも優れたサウンドバーや後付けスピーカーを探すこともまた、困難だと思う。

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