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富士通、スパコンとAIでがんの薬剤耐性の原因遺伝子を特定

2022年03月08日 06時27分更新

文● MIT Technology Review Japan

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富士通と東京医科歯科大学は、人工知能(AI)プログラムをスーパーコンピューター「富岳」で実行することで、肺がんの治療薬に耐性を持つ原因となる遺伝子を特定することに成功した。患者一人ひとりに対応した効果的な抗がん剤創薬の実現に向けて本技術の活用が期待される。

富士通と東京医科歯科大学は、人工知能(AI)プログラムをスーパーコンピューター「富岳」で実行することで、肺がんの治療薬に耐性を持つ原因となる遺伝子を特定することに成功した。患者一人ひとりに対応した効果的な抗がん剤創薬の実現に向けて本技術の活用が期待される。 がん治療薬は個人や臓器における遺伝子やその発現量などにより薬剤効果が異なる。そのため、がんの臨床治験では、薬剤効果が期待される患者のおおまかに特定する必要がある。だが、がんに関係することが判明している主な50個の遺伝子に限定した場合でも、組み合わせ数は1000兆通りを超えるため、効率性が高い探索技術が求められている。 富士通は、独自のAI技術である「Wide Learning(ワイドラーニング)」を用いて、特徴的な因果関係を持つ条件を網羅的に抽出する技術を新たに開発。統計情報に基づき薬剤耐性を生み出す条件となりうる有望な遺伝子の組み合わせを抽出できるようにした。さらに、条件探索と因果探索をするアルゴリズムを富岳で高速実行できるように並列化した。 研究チームはこれらの技術を用いて、ブロード研究所(Broad Institute)が提供する、がん細胞株の変異情報と全遺伝子の発現データを格納したデータベース「デプマップ(DepMap)」の公開データを分析。ヒトの全遺伝子に対して、条件と因果関係を1日以内で網羅的に探索し、肺がんの治療薬に耐性を持つ原因となる遺伝子を特定できた。

(中條)

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