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低温ハンダや再生プラスチック、ThinkPadの環境への取り組みをレノボが解説

2022年03月07日 09時00分更新

文● ASCII

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 レノボ・ジャパンは3月3日、製品開発におけるサステナビリティへの取り組みに関する説明会を開催した。環境(Environment)、ソーシャル(Social)、ガバナンス(Governance)を組み合わせたESGへの取り組みの一環。低温ハンダや再生プラスチックについての話が中心となった。

登壇者(右から):レノボ・ジャパン 大和研究所 コマーシャルソリューション製品開発 コマーシャルサブシステム開発 ディスティングイッシュド エンジニア&エグゼクティブ ディレクター 小菅 正氏、千住金属工業 研究開発部 統轄部長 島村 将人氏、ソニーセミコンダクタソリューションズ IoTソリューション事業部 事業部長 中村 俊之氏、レノボ・ジャパン 大和研究所 執行役員 塚本泰通氏

 レノボは2025年に電力の90%を再生可能エネルギーから調達すること、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を100万トン削減すること、PCプラスチックパッケージにおけるリサイクル素材を割合を90%以上にするといった目標を掲げている。ThinkGreenはこれに設計、製造、利用、保守、回収といった製品ライフスタイル全体で取り組んでいくコンセプトだ。また、レノボ製品では、二酸化炭素オフセットサービスを製品の購入時に適用できる。製品を使うにあたって発生する二酸化炭素排出量をレノボが削減プロジェクトを通じて肩代わりするもので、電子証明書も発行し、ユーザーの環境目標達成についても貢献するとする。

 再生プラスチックの利用では、ソニーセミコンダクタソリューションズの開発した難燃再生プラスチック「SORPLAS」の利用が挙げられる。両社は2017年に協業を開始、45W/65WのACアダプターから始め、スピーカーやアンテナホルダー、ケーブルホルダー、バッテリーパックに適用範囲を拡大してきた。他社が50%程度であるのに対して、90%を超える再生材使用率は競合他社と比べても非常に高い。レノボでは3年以上先行しているとした。

 低温ハンダについては、千住金属工業と2013年から共同研究を開始し、2017年に技術発表した。LTSは特許取得技術だが、環境保護への貢献としてライセンス料を取らず、業界に広く公開している。低温ハンダは、欧州を中心に融解温度の低い鉛の規制が入ったことを受けて開発された技術で、Sn(すず)とBi(ビスマス)を使っている。140℃と低い温度で溶けるのが特徴だが、銀と銅を使ったはんだと比べて硬く、衝撃で壊れやすい面がある。この点を改良して使用されている。

 融点が低いということは製造時の熱を抑えられるということで、二酸化炭素の削減につながる。また、熱に弱い部品が採用できるようになったり、設備への負担軽減も図れる。さらに材料の採掘や精錬におけるエネルギーも従来のはんだより低く抑えられるそうだ。マザーボードのほか、メモリー、指紋認証モジュールにも用いており、ThinkPadの低温ハンダだけで累計約9000トン排出削減に貢献できたという。今後はWi-Fi/WWANモジュール、クリックパットなどにも適用していく見込みだ。

 このほかレノボでは、ThinkPad本体の省電力化、特にCPUとディスプレーの効果的な活用にも取り組んでいる。例えば、可変リフレッシュレートやパネルセルフリフレッシュへの対応、低温ポリシリコン(LTPS)液晶の採用といったデバイス自体の改善に加え、AI技術を応用して、人が見ていない場合、目をそらしている場合に輝度を抑える技術なども取り入れていく予定だ。同様にCPUについても、ユーザーの利用方法に応じて電力とパフォーマンスが最適になる制御を取り入れていくそうだ。

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