昨年9月にWindows 11の最終プレビュー(RTM)が登場して5ヵ月。Windows 11のプレビューやアップデート方法などが明らかになりつつある。今回はこのあたりをまとめる。
Dev Channelが今秋登場予定の
NI(ニッケル)リリースに切り替わる
今月16日に配信が開始されたBuild 22557では、リリース名称が「NI_RELEASE」(Nikkel、ニッケル)リリースに切り替わった。現在のWindows 11は、「CO_RELEASE」(Cobalt、コバルト)リリースベースである。Windowsは、メジャーアップデートごとに元素名を使った名称が使われており、NI_RELEASEは、Windows 11の今秋のバージョンアップ(Windows 11 Ver.22H2)のベースになると考えられる。
Windowsのメジャーアップデートでは、カーネルのバージョンアップも実施される。カーネルの変更はWindowsを構成するほとんどのプログラムモジュールに影響し、さらにはアプリケーションの動作にも影響が及ぶ。そこで、1回安定版としてWindowsの配信が始まると、変更は重大なバグの修正などに限られる。修正も小規模なものとなり、サイズがほとんど変わらなくなる。
しかし、Windows Insider ProgramのDev Channelのプレビューでは、カーネルサイズの変動が大きい。以下の図は、Windows 10 Ver.1809(RS5)の最後から最新のBuild 22557までのカーネルサイズをグラフにしたものだ。変動を見るため、Windows 10デスクトップを持つものを左側に置き、右側にWindows 11デスクトップを持つものを配置してある。このグラフは、カーネルサイズの変動を追うもので、横軸はビルド番号の変更回数に対応している。Windows 10での半年ごとのアップデートでは、プレビューとリリース後のアップデートの数を合わせるとだいたい同じ程度の回数に落ち着いている。
Windows 10は、機能アップデートが年2回のペースだったが、Windows 11では年1回となる。Windows 11デスクトップを持つCO_RELEASEは、比較的高い頻度で公開されてきて、カーネルサイズも変動が大きい。しかし、Windows 11のリリース版ではほとんどカーネルサイズが変わっていない。
Windows Insider Programもプレビューのやり方が変わった。Dev Channelは、特定のWindows 11のリリースとは無関係で、搭載された新機能は必ずしも正式リリースに搭載されるとは限らず、新機能の公開もフィードバックが必要なものだけに限られるという。そのため、Dev Channelのリリースを見ていても、次のWindows 11に結びつく情報を得られるとは限らない。今秋のアップデートも正式情報を待たないと、どんな新機能が入るかわからない状態だ。もっとも直前になれば、Beta Channelでプレビューがあるだろうから、その時点で一部が判明するだろう。
これに対してBeta ChannelとRelease Preview Channelは、Windows 11の現行版のアップデートのプレビューとなる。Windows 10はBeta Channelがすでに選択できず、Release Preview Channelでのみアップデートのプレビューができる。Windows 11では、正式リリース版(Build 22000.194)からすでに10回、プレビューも7回アップデートされた。
この表を見るといくつか小規模な新機能が搭載されている。具体的には、絵文字の更新(Unicode 13相当)と絵文字パネルの改良、タスクバーの改良(ガジェットの表示位置やメインディスプレイ以外でも時刻日付が表示されるなど)がある。また、設定ページにもいくつか改良があり、アカウントにMicrosoftアカウントページが追加されている。小さな変更に関しては、毎月の品質アップデートでも機能改善があるようだ。具体的な更新内容は以下のページから見つけることができる。
●Windows 11 更新履歴
https://support.microsoft.com/ja-jp/topic/windows-11-%E6%9B%B4%E6%96%B0%E5%B1%A5%E6%AD%B4-a19cd327-b57f-44b9-84e0-26ced7109ba9
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