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阪大が世界初、核融合炉で使う重水素・三重水素の屈折率を測定

2022年02月17日 06時18分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学レーザー科学研究所の研究チームは、世界で初めて、固体状態の重水素とトリチウム(三重水素)の混合体の屈折率の測定に成功した。トリチウムの新しい物性値が明らかになるのは約60年ぶり。将来の核融合発電炉で使われる固体重水素-トリチウム(D-T)燃料の検査手法が確立され、核融合炉の設計が進むことが期待されるという。

大阪大学レーザー科学研究所の研究チームは、世界で初めて、固体状態の重水素とトリチウム(三重水素)の混合体の屈折率の測定に成功した。トリチウムの新しい物性値が明らかになるのは約60年ぶり。将来の核融合発電炉で使われる固体重水素-トリチウム(D-T)燃料の検査手法が確立され、核融合炉の設計が進むことが期待されるという。 核融合発電炉において効率的な発電をするには、燃料として注入されるD-Tの粒の形状と組成を高い精度でコントロールする必要がある。だが、放射性元素であるトリチウムは扱いが難しいため、固体状のD-Tについては屈折率が測定されておらず、軽水素(通常の水素)などの値から推測したデータが使われていた。研究チームは今回、重水素とトリチウムを混合して、密封セル内でマイナス255度以下の極低温にすることで固化し、屈折率を高い精度で測定した。さらに温度を下げることで、固体状態D-Tの屈折率の温度依存性を明らかにした。 研究成果は2022年2月15日に、米国科学誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)のオンライン版に掲載された

(中條)

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