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アンドロイドで人そっくりの表情、心理学実験で検証=理研など

2022年02月11日 07時00分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所(理研)などの研究グループは、ヒトの表情を模したアンドロイド(人型ロボット)を開発し、表情の妥当性を心理学実験で実証した。ヒトの表情筋の動きをロボットで精緻に再現し、心理学実験で厳密に検証した研究は初めて。

理化学研究所(理研)などの研究グループは、ヒトの表情を模したアンドロイド(人型ロボット)を開発し、表情の妥当性を心理学実験で実証した。ヒトの表情筋の動きをロボットで精緻に再現し、心理学実験で厳密に検証した研究は初めて。 研究グループはまず、ヒトの解剖学と心理学の知見に基づき、アンドロイドの頭部を開発。表情の妥当性を3つの心理学実験で検証した。1つ目は、眉を寄せたり口角を上げるなど17種類の表情筋の動きを作り出し、表情の専門家が心理学研究で使用する、ヒトの表情筋活動を評価する方法(顔面動作符号化法)。この方法では、17種類すべてがヒトと同様の表情筋の動きであると証明された。 2つ目は、怒りや驚きなどの6つの基本感情をアンドロイドに表現させた写真を実験参加者30人に見せ、感情を認識できるか確認した。この結果、統計的に有意なレベルで、すべての感情が適切に認識されることが分かった。3つ目は、6つの表情を0.3秒〜2秒間の4種類の速度で切り替える動画を作成し、参加者30人にそれぞれの「表情の自然さ」を評価させた。結果、驚きの表情は早いほうが、悲しみの表情は遅いほうが自然など、感情によって表情を表す速度が影響することが分かった。 研究成果は、2月4日付けのオンライン科学誌「フロンティアズ・イン・サイコロジー(Frontiers in Psychology)」に掲載された。将来的には、社会心理学実験や介護現場などでの応用を想定する。

(笹田)

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