メタバースが本格的にやってくる
アプリ側では、AR、そしてメタバースに注目したい。メタバースはインターネット上の仮想空間で、Facebookが社名を変更したことが大きい(もっとも社名変更の最大の目的は、Cambridge Analytica問題や、”Facebookファイル”とも呼ばれる内部告発によりFacebookについたネガティブなイメージを取り払うためだと思うが)。それほどにこの構想に社運をかけている。
同社トップのザッカーバーグ氏は社名変更前の6月にテックイベントに登場し、メタバースへの進出意欲を語った際に、会議などの仕事での活用例(Metaは「Horizon Workrooms」という仮想ワークスペースをベータ公開している)を語っていた。Oculus VRを装着してメタバースにアクセスするというものだ。
これまでMetaはハードウェアとしてのスマートフォンでいくつかの試みを重ねたが、どれも成功とは言えなかった。OculusはVRヘッドセットで75%のシェアを持つことから、メタバースでは先行していると言える。Metaは2022年、最新のVRヘッドセットを発表予定で、搭載したカメラに映る画像を利用したミックスド・リアリティ(MR)が特徴として予想されている。
2013年にいち早く「Google Glass」をリリースしたグーグルは現在、企業向けにシフトしてARメガネの事業を続けている。AR向けのOSを開発しているという情報もあるし、2020年にスマートグラスのNorthを買収している。同じく、以前から取り組みを進めているのが「HoloLens」のマイクロソフトだ。
とは言え、結局ここでも注目はアップルかもしれない。2022年にAR/VRヘッドセットを投入という憶測があるからだ。
スマートフォンがメタバースでどのような役割を果たすのか。ARメガネのようなもの、あるいはVRヘッドセットとセットになると予想されるが、メタバースがスマホの進化にどのような影響を与えるかは興味深いポイントになりそうだ。
筆者紹介──末岡洋子
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フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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