地熱発電の基本がわかったところで、実際の「地熱発電所」はどうなっているのか?を知るために北海道電力の森地熱発電所を取材した。
北海道電力「森地熱発電所」に見る地熱発電のしくみ
函館から汽車に揺られて1時間ほど。大沼国定公園の駒ケ岳を望む「いかめし」で有名な森駅に到着。そこから車で20分ほど山に入った場所に北海道電力 森地熱発電所がある。濁川温泉としても有名で江戸時代から温泉が自噴してそこらじゅうから湯気が立ち上っていたという。それもそのはず、周りを見ると低い丘に囲まれた直径2km程度の盆地となっていて、ここは1万数千年ほど前に噴火した火口が堆積物で平地になったカルデラなのだ。
駒ケ岳は国定公園のため地熱発電所を建設できなかったが、森地熱発電所は開発規制が厳しい国定公園の外にあたり、民家と旅館がチラホラと見えるだけでほかは畑が広がっている。温泉は今でも湧き出しており、旅館の温泉以外にも個人所有の温泉が多数存在するほどだ。
つまり森地熱発電所は、濁川温泉が1万数千年前に噴火した熱源を利用しているというのだ。平時は発電所内の見学も可能だったが現在はコロナ禍にともない見学不可。しかし特別に一部立ち入りを制限した上で取材の許可を得た。さっそく地中から蒸気を取り出し、発電するまで一連の流れと施設を見ていこう。
【生産井】
【セパレータ(汽水分離器)】
森地熱発電所は、ダブルフラッシュ型なのでセパレータの後段に「フラッシャ」と呼ばれる減圧器を設けて、セパレータで分離した高温の熱水から低圧の蒸気を取り出す。低圧蒸気は蒸気タービンに送られる。減圧のしくみは殺虫スプレーと同じ。高圧の缶の中でタプタプと音がする液体だが、スプレーすると急減圧して気化する原理を使っている
【還元井】
【1次・2次蒸気パイプ】
【発電用タービン】
【冷却塔】
冷却塔で冷やされた温水は、復水器の冷却水として、また還元井から地中へ戻す水として循環している。
【変圧器】
ここまで見てきた個々の施設だが、森地熱発電所全体のシステムを見ると次のように構成されている。



































