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共有することでボトルネックは解消する

実は自分がボトルネック? メールの属人化を防ぐ仕事術

2022年01月07日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 2021年11月1~2日、幕張メッセで「Cybozu Days 2021」が開催された。2016年から毎年行なわれており、kintoneなどの製品に関わる40以上のセッションと70を超えるブースを体感できる総合イベントだ。今回は初日に行なわれたセッション、「“自分がやった方が早い”からの脱却―メールの属人化をなくすための仕事術―」のレポートを紹介しよう。

サイボウズデイズで開催された「“自分がやった方が早い”からの脱却―メールの属人化をなくすための仕事術―」

まだまだ使われているメールやり取りでの問題

 モデレータを務めたのはStill Day One合同会社代表社員 パラレルマーケターの小島英揮氏で、パネリストはサイボウズ 営業本部 足立宜親氏と沖沙保里氏の二人。グループウェアやビジネスチャットが普及しつつあるが、それでもメールがなくなったわけではない。特に、外部と連絡することの多い部署では大量のメールを捌くのに四苦八苦している人も多い。今回はそんな人たちが抱えている課題についてトークが繰り広げられた。

小島氏:今さらメール?と思った人いますかね。時代はビジネスチャットじゃないの、と思っている人は多いですが、実際の仕事はけっこうメールで回っています。社外、それも一見さんが含まれるところとやりとりする場合はメールが圧倒的に多いです。

足立さんと沖さんはサイボウズに来る前は、個人メールですべてを処理する世界にいましたが、お二人がリアルに体験した、属人性の高い状況ってどうだったのでしょうか?

Still Day One合同会社代表社員 パラレルマーケター 小島英揮氏

足立氏:僕は前職がIT系の商社なので、仕入れ先のメーカーさんと販売先のお客さまや販売店さんと仕事をしていました。休暇を取った翌日に出社すると大量のメールが入ってきています。その当時、Outlookを使っていて、件名でソートして返信していないメールを戻していました。その後、アシスタントと話していると、足立さんそれ送りましたよ、って言われるんです。

同じお客さまから来た違う件名のメールに、まとめて回答してしまったのです。しかも具合の悪いことに返信内容が若干違っていました。見積りの金額が違うと、お客さまによってはクレームになります。属人性の高い状況になってかなり困っていました。

サイボウズ 営業本部 足立宜親氏

沖氏:私は、前職で退職した人がやりとりされていたお客さまから、「あれどうなってますか?」と言われた時に、どこにもそのメールの履歴が残っていないので、どこまで会話したのかをお客さまにお伺いすると、引き継ぎできていないんですか、と言われてしまいました。

もう一つが、お休みが取りづらいことです。休み明けはメールが溜まってしまっているので、メール対応に追われてしまいます。他の人にお願いしようとしても、過去の経緯がわからないので、今さらフォローしてもらえません。自分でやらなければいけないので、抱えていました。

サイボウズ 営業本部 沖沙保里氏

メールが溜まっても、他の人に任せようと思わないマインド

小島氏:今の話で興味深いのは、メールが溜まっても、他の人に任せようというマインドは見えないことですね(笑)。メールが溜まっている自分すげーみたいな。

沖氏:そうですね。「私がやってる案件」という仕事を持っているという自負もあったと思います。2~3年目でやっと一人で案件を回せるようになると、溜まってる仕事を見て、「うれしい」と感じるところもあったりします。

小島氏:仕事的に一人に溜まってしまうのは良くないんです。処理すべきことがたくさんあっても、真ん中にゆっくりプロセスしてしまうボトルネックがあると、流れなくなります。メールでたくさん仕事をしている人は、メールの処理スピードがボトルネックになりやすいです。

ボトルネックの種類もたくさんあるのですが、サイボウズさんのサイトでボトルネック研究所というのがあって、現在33のモンスターが図式化されています。

情報共有を妨害する33匹のモンスターたち

足立氏:私の着てるTシャツにいるモンスターはアフレサスです。メールがめちゃくちゃ多いので、やり方を考えました。最初はフォルダーをたくさん作って、メールが届いたら勝手に振り分けられるようにしました。しかし、どんどんメールが来るので、あちこちのフォルダーの横に着信数が表示されて、結局フォルダーを開くのに時間がかかってしまいました。

でも、それが手間過ぎるので、メールボックスをひとつにして、フラグを付けるようにしました。しかし、メールを1回読むと既読になって見えなくなるので、フラグ付け忘れるとなかなか探し出せなくて苦労しました。結局、ひたすらがんばってメールボックスをチェックして時間をかけて処理することにして、疲れ切ってしまいました。

メールボックスをあふれさせるアフレサス

小島氏:メールって返信したら、それ以上のメールが来ます。処理すればするほどたくさん返ってきて、1日24時間がオーバーフローしてしまいます。

沖氏:(シャツに書かれているモンスターは)バイバイエースです。会社の優秀な先輩がいなくなってしまった時に、情報がくっついていってしまうというコンセプトのモンスターです。

小島氏:これは、けっこうやばいやつで、アフレサスは足立さんがボトルネックになってる状態なので、改善のしようがまだあります。でも、バイバイエースは、仕事の話も前後の関係も、なんなら仕事のやり方含めていなくなっちゃうので、メールが来ても、処理する人もいなければ、プロセスもわからない。ボトルネックどころか壁ができてしまいます。

こんな状況をどうやって脱出すればいいのか。その処方箋として、チームでメールを処理すればいいじゃないというのが、今日の提案です。

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