EDIとは? EOS、Web EDI、メールEDIなど受発注業務の効率化を解説
業務効率化や改善で上がってくる業務のひとつに、受発注業務があります。日々行なわれているこの業務は、企業間取引であれば、複数の取引先との膨大なやり取りを、決められた時間内にこなさなければならない、企業の業績に関わる重要な業務です。
この記事では、「EDIの業務効率化」でよく聞かれる用語
・EOS
・Web EDI
・メールEDI
を解説し、業務を効率化する秘訣やソリューションを紹介します。
EDIとは
EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の頭文字をとった略語です。受発注・出荷・請求・支払などの各種取引データを通信回線を通じて、企業間でやり取りする電子商取引の仕組みのことです。
紙で受発注書や請求書を作成し、電話、FAX、郵送でやりとりをする商取引に代わり、固定電話回線(※)やインターネットを活用して企業間でデータのやりとりを可能にするためにEDIが開発されました。これにより、手書きや郵送は不要になり用紙や印刷、輸送費用が削減になっただけでなく、取引のスピードや正確性が向上しています。
また、こうした取引をデータで保持できることはビジネスの情報の蓄積につながり、過去取引の検索・分析に強みを発揮し、昨今言われているDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも役立ちます。例としては、売上げや在庫に関するデータを正確に把握し、欠品や無駄な在庫を抑え、顧客へのサービス向上につなげることができます。
※固定電話回線は、2024年にNTT東日本と西日本がPSTN(Public Switched Telephone Network:加入電話及びINSネットを提供するネットワーク)を中継・交換機の維持限界、インターネットの普及による高速通信の需要を理由に2024年にISDNデジタル通信モード終了、2025年にIP網へ完全移行するという方針を2017年に正式に発表しています。
関連記事:EDIの教科書~EDIの始まりから流通BMS、ISDN終了問題(2024年問題)まで~
EOSとは? EDIとの違いは?
EDIに関連して、EOSについても解説します。EOSはElectronic Ordering System(企業間の電子受発注システム)の頭文字をとった略語です。EOSはその言葉のとおり、受注や発注に関するデータを送受信するシステムです。
受発注に関するデータのほか、納品や在庫に関するデータの送受信も行なえるようにEOSが進化したものが、EDIです。EOSでは、各店舗が発注や検品に関わる確定データをVANやデータセンターに送信し、受注業者がそのデータを受信します。
Web EDIとは
Web EDIも、企業間電子商取引を実現するための一つの方式です。ウェブブラウザーやウェブサーバーなどウェブ技術を用いた電子商取引です。具体的には、伝票表示型(ブラウザー型)とファイル転送型の、2つのタイプがあります。
伝票表示型は、注文書など紙の伝票がそのままウェブブラウザーに表示されているイメージです。受注企業は、注文一覧から注文内容を確認し、納期回答や出荷情報を画面上の指定されている箇所に入力していくのです。
一方、ファイル転送型は、その名のとおりファイル形式でビジネス文書のデータをやりとりします。発注企業がサーバへアップロードした注文書ファイルを、受注企業がアクセスしてダウンロードします。
メールEDIとは
メールEDIは、メール機能を利用して注文書をExcelやCSVで送信し、取引をします。先に記述したEOS、Web EDIに比べてイメージしやすいのではないでしょうか。通信手段である電子メールを利用し、これまでFAXや電話などで発注していた業務をメールEDIに切り替えて、ファイルでデータをやり取りします。
受注する側は、受注データを基幹システムに取り込み、後工程である出荷や請求業務がスムーズになります。電子メールさえあれば受発注業務のデータ化がかなうメールEDIは、企業規模に関係なく業務を効率化できるところがポイントです。
受発注業務、効率化の秘訣
さて、企業間取引においてさまざまな形態のEDIが存在することがお分かりいただけたところで、業務の効率化について解説していきます。
商品を発注する・受注するという決められたやり取りを、迅速かつ正確に実行するために、システムを活用した仕組みづくりをすすめていきましょう。特に受注する企業側は、データ化、自動化を進め、取引の増大や顧客満足度の向上につなげていきたいところです。
とはいえ、EDIは自社だけが対応すればよいというものではありません。発注する側、受注する側双方の事前の調整が必要になります。そして、取引先は1社ではなく、複数社存在し、それぞれが違ったEDIで発注をしてくる場合、受注側がそれに合わせて対応するとなると、いくら人手があったとしても業務効率の点では早々に限界が見えてくるでしょう。
そうした様々なEDIを受注側のシステムで一本化し、受注データを基幹システムへ取り込み、出荷・請求までスムーズに流せたらどうでしょうか。迅速な出荷、欠品ゼロが実現できるだけでなく、顧客からの注文データは貴重なマーケティング資産となり、売れ筋や新製品開発に役立てることができます。流通BMS(JX手順)や、レガシーEDIと言われているJCA手順、全銀手順だけでなく、Web EDIやメールEDIのデータも一本化して基幹システムに取り込むことができるのが、『EOS名人.NET』です。
EOS名人の特長とは
EOS名人は、上図に示した通り取引先との様々なEDI形式にとらわれることなく、受注データを一本化して基幹システムに取り込み、出荷や請求など一連の受注業務を効率化できる優れものです。
データの送受信だけでなく、データの訂正や緊急発注入力、納品書や一括納入明細書、 ピッキングリストの発行など、EDI業務全体をカバーできます。
「特定の小売業としか取引をしない」場合ならば、その小売業専用パッケージソフトがあれば、それを利用するのがよいですが、複数の取引先を抱えている場合は、どの小売業とのEDIも共通のPCで使えるEOS名人はお勧めです。
また、利用者の認証や操作ログの保存機能もあり、内部統制にも対応しています。
Web EDI業務の効率化
これまで紙やFAXなど、アナログで進めていた受発注業務は、システムを活用することで業務のスピードや質、顧客や取引先の満足度も高まり、ビジネスが成長する例が多くあります。
ユーザックシステムが提供する、BtoB取引に特化したウェブ受注・調達システムであるi名人(アイメイジン)は、受注システムと調達システムが別になっており、必要なシステムを選択できます。導入コストの点でも無駄がなく、業務に必須な機能に絞り込み、シンプルで使いやすいと評価されています。スマートデバイスにも対応しているので、忙しい受発注担当者の外出先での商談や得意先での店舗内でも活用できます。
参考事例<株式会社プロギア>:Web受注システムの導入で取引先量販店からの電話問合せが1/3に。来店客対応にも余裕
また、発注企業から受注データをウェブブラウザーやファイル転送型で取得し、出荷対応をする場合であれば、業務の効率化にはRPAが役に立ちます。
ウェブ画面の操作の自動化はもちろん、受注データをダウンロードしてデータを整え、基幹システムに連携するところまでの自動化シナリオを作成するのです。RPAは、こうした日々発生し、締め時間があるなど、ミスが許されない定型業務の活用に非常に向いています。
それでも、多数のWeb EDI取引先の数だけ、RPAシナリオを開発するのはすぐにはできないものです。Autoジョブ名人ではさまざまな業界でよく使われているWeb EDIサイトにアクセスしてデータを取得する定型的なRPAシナリオを安価に提供しています。
図は受注データダウンロードシナリオの例。小売業だけでなくオンラインショップのWeb EDIシナリオも提供。標準化ライブラリは、随時追加されているので要チェック。
この標準化ライブラリにある各Web EDIのAutoジョブ名人シナリオを活用すれば、極端な話、シナリオの開発スキルがなくてもRPA(※)導入後数日でWeb EDI業務の効率化が実現します。
※標準化ライブラリの利用はAutoジョブ名人の導入が必要です。メールEDI業務の効率化
EDIシステムを構築するほどのコストは割けないが、業務をデジタル化し効率を上げたいとか、取引先のシステムの関係上、EDIを活用することが難しい場合はメールを活用したメールEDIに取り組むのがよいでしょう。すでにメールEDIでやり取りをし、添付ファイルの受領、展開、基幹システムへの取り込みが煩雑な業務となっているのであれば、ここでもRPAが有効です。ただし、メール業務の自動化においては、汎用的なRPAではうまくいかない点も多くあります。その理由は、主に下記の通りです。
・対象メールが特定できない(随時追加されていく受信フォルダから、対象メールの特定に失敗する)
・パスワードの処理ができない(別メールで送付される「添付ファイル開封パスワード」の処理ができない)
・添付ファイルの処理に時間がかかる(ファイルの変換や並び替えをExcelなどで処理する時間がかかる)
こうしたメールならではの処理に、メール業務の自動化に特化して開発されたRPA『Autoメール名人』を活用することをお勧めします。
▼Autoメール名人でメールEDI業務を効率化した事例はこちら▼
参考事例<ツインバード工業株式会社>:ギフトサービス企業からのメールEDIによる注文の取り込みと納期回答業務の効率化事例
参考事例<株式会社山善>:一日8回、定刻にメールで送られてくる注文情報を基幹システムに取り込み、受注・出荷・売上データに反映する業務の自動化
<参考>FAX受注業務の効率化
業界や業務の現場によってはFAXのほうが利便性がよい、ということで活用されているケースもあります。DXやSDGsの取り組みなどペーパーレスの流れがある中、FAXによる受注業務の効率化についても、デジタル化を実現できるソリューションがあります。
ユーザックシステムが提供するFAX受注名人は、FAX注文書をプリントアウトすることなく、画面上で表示し基幹システムへの連携や顧客・取引先への納期回答なども、アナログな手順から解放されます。具体的には、注文書の受領や納期回答の連絡をメールやシステムの通知ですみます。また、FAXはそのままデータ保管できるので検索もラクになります。あとから注文書について問い合わせが来たとしても、FAXの束を掘り起こして探す必要がありません。基幹システムへの注文データの取り込みまで自動化することも可能です。
FAX注文書をAI-OCRで読み込み、RPAで基幹システムに連携しましょう。FAX受注業務の効率化の詳細は、こちらからダウンロードできます。
FAX受注業務を効率化~FAX受注業務のよくある課題をおすすめソリューションで解決いたします
まとめ
冒頭で記述したとおり、受注業務は企業の業績に関わる重要な業務です。システム化が進み、取引量が増えていく中で、いかに迅速かつ正確に業務を遂行するのかを考えなければならないのは、業務現場だけの話ではありません。「今はわりと不自由なく回っている」と思っていた業務も、今後の社会やビジネス状況でどう変わるかは予測できません。業務のデジタル化、自動化、効率化は、常に経営層が認識しておくべきことではないでしょうか。この記事をきっかけに自社内での課題を認識し、改善に取り組むことをお勧めします。
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