くらし事業を営む会社として1丁目1番地の変革
新パナソニックは、事業価値向上に向けて、3つの変革に取り組むという。
ひとつめの変革は、「くらし事業を営む会社として1丁目1番地の変革」と位置づける「顧客価値の創出」である。
「メーカーにとって競争優位の源泉になるのは、テクノロジーである。これまでは、自前や全方位で技術開発を行ってきたが、社会の変化に対応するためには、外部からの技術を取り入れることが大切である。グローバルに未来の変化を見据えて、イノベーションを加速していく」と語る。
外の技術を取り込むための『くらしファンド』の創設も検討している。「くらしファンドは、現行事業領域よりも、中長期的に必要な領域を獲得することを目的としている。将来の新パナソニックの事業領域を支える領域に投資する」という。また、顧客との関係性も、トップダウンでフェーズチェンジを進めるという。
「未来の定番づくり、顧客との関係づくり、パナソニックのブランドの世界観づくりに取り組む。デザイン経営の象徴となる取り組みをしていきたい」とも語る。
オペレーショナルエクセレンスの追求
2つめはグローバルトップレベルの生産性やコスト競争力を実現する「オペレーショナルエクセレンスの追求」だ。
ここでは、「過去のしがらみや、個別最適のインフラが、全体最適を邪魔している。新パナソニックの設立を機に、ゼロベースでサプライチェーンを見直し、複数の取り組みを並行して実施。聖域なく取り組むことで、今後3年間で1000億円のコスト圧縮を進めていく」との考えを示す。
そのなかで、中国での経験を、今後の経営に反映させる姿勢をみせる。
パナソニックでは、中国・北東アジア社を設置し、本間哲朗副社長が、中国を拠点として活動。ここ数年で、中国およびアジアの家電事業などを再構築してきた経緯がある。そのなかで、中国の部品を活用することで、コストを4割削減した製品があったり、技術開発や製品開発のスピードが大幅に加速するといった成果があがったりしている。
品田CEOも、「中国は学びの場である。この数年で、中国域内の事業スピードの向上といった大きな成果が生まれた。今後は、中国が持つケーパビリティを、グローバルビジネスの展開に最大限生かしたい。新パナソニックでは、そのためのフォーメーションを組んでいる」とする。
実は、くらしアプライアンス社のトップである松下理一氏のレポート先は、中国・北東アジア社のトップを務め、くらしアプライアンス事業担当を兼務する堂埜茂氏となっている。つまり、中国での事業を推進するトップのもとで、日本を含むグローバルでの家電事業が推進する体制を敷いているのだ。中国での経験をグルーバル展開する姿勢が、この組織体制かも明確になる。
Panasonic Transformation
一方で、PX(Panasonic Transformation)によるデジタルを活用した企業変革においても、新パナソニックは積極的に取り組む。
品田CEOは、「新パナソニックにとって、今後5年間は、IT基盤の底上げがトッププライオリティのひとつになる。新パナソニックでは、従来比で4~5倍のIT投資を行う」と述べ、「一番の投資領域はSCMになる。開発したものを市場に届け、実需に連動して商品供給することをきっちりとやっていく。コスト力強化と安定調達により、製品力を強化していく。さらに、経営の見える化を進めるとともに、顧客との接点を強固なものにしていくことも大切である」とする。
新パナソニックでは、社内外に向けて、「ガラス張りの経営」をしていくと宣言する。
「創業者は、数字を透明化したオープンな経営を行っていた。これを新パナソニックのなかでもやっていく」とする。PXはそれを実現するための手段ともなる。
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