米AMDは11月8日(現地時間)、エクサスケールクラスのGPUアクセラレーター「AMD Instinct MI200」シリーズを発表した。本シリーズには、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)・人工知能(AI)向けアクセラレーター「AMD Instinct MI250X」が含まれる。
AMD Instinct MI200シリーズ・アクセラレーターは、幅広いHPCワークロードに対応する最先端のアプリケーション性能を備える。倍精度(FP64)のHPCアプリケーションにおいて、他社製品と比較して最大およそ4.9倍の性能を発揮し、AIワークロードではピーク時半精度(FP16)で380テラフロップスを超え、データ駆動型の研究をさらに加速させることが可能としている。
「AMD CDNA 2」アーキテクチャーを採用したことで、第2世代マトリックス・コアがFP64とFP32マトリックス演算を高速化し、前世代のAMD GPUと比較して、ピーク時FP64演算性能を最大およそ4倍に高めたとする。
また、「2.5D Elevated Fanout Bridge(EFB)」テクノロジーを採用した業界初というマルチダイGPU設計により、前世代のAMD GPUと比較してコア数がおよそ1.8倍、メモリー帯域幅がおよそ2.7倍に強化され、業界最高レベルの最大メモリー帯域幅(毎秒3.2TB)をうたう。
さらに、第3世代「AMD Infinity Fabric」テクノロジーにより、最大8本のInfinity Fabric Linkが、本シリーズをノード内の第3世代EPYCやその他のGPUと接続することで、CPU/GPUメモリー・コヒーレンシーを統合し、システムのスループットを最大化するため、CPUコードがアクセラレーターの能力を活用しやすくなる。
AMDは、米国エネルギー省、オークリッジ国立研究所、HPEと共同で、ピーク時に1.5エクサフロップス以上のコンピューティング性能を実現するスーパーコンピューター「Frontier」を設計。最適化された第3世代「AMD EPYC」とAMD Instinct MI250Xアクセラレーターを搭載し、AI、分析、シミュレーションの性能の大幅に向上させた。
AMD Instinct MI250XとAMD Instinct MI250は、オープン・ハードウェアのコンピュート・アクセラレーター・モジュール、あるいはOCPアクセラレーター・モジュール(OAM)で利用可能。AMD Instinct MI210は、PCIeカード・フォームファクターでOEMサーバーに搭載される予定。
また、AMD Instinct MI200シリーズ・アクセラレーターは、2022年第1四半期に、ASUS、ATOS、Dell Technologies、Gigabyte、HPE、Lenovo、Penguin Computing、Supermicroなど、エンタープライズ市場のOEMおよびODMパートナーのシステムに搭載される予定としている。