製造プロセスもアーキテクチャーも大刷新!
Core i9-12900KはRyzen 9 5950X超え?Alder Lake-SことデスクトップPC向け第12世代Coreが正式発表
2021年10月28日 01時00分更新
まずは6モデルがお披露目
ここからは具体的な型番やスペックを見ていこう。残念ながらベンチマーク結果は後日のご案内になるが、Intelのスライド資料から性能の概要をお伝えする。
今回明かされたSKUはCore i9-12900K、Core i9-12900KF、Core i7-12700K、Core i7-12700KF、Core i5-12600K、Core i5-12600KFの6モデル。いずれも「K」付きなのでコア倍率はアンロック仕様となる。Pコアのほか、Eコアの倍率もいじれるようだが、省電力コアのパワーを上げるという行為自体のうまみがどれぐらいあるのかは疑問が残る。むしろ倍率を下げて省電力運用する方向性はアリだと思うが……。なお、「F」付き型番は内蔵GPU機能なしのモデルだ。
一方で、電力回りは「Processor Base Power」と「Maximum Turbo Power」という見慣れない表記がある。これはざっくりと言ってしまえば、以前の「TDP」に近いものだが、Intelは電力に関する定義をアップデートしたと説明している。
上記のスライド資料によると、Power LimitのPL1設定がデフォルトは125Wになってはいるものの、PL2は241Wになっており、性能が必要な時に短期間だけ上がるという動きになるようだ。これをおそらくBIOSなどの設定で、PL1も241Wにすると消費電力はずっと241Wになるというグラフだ。
そもそも近年のマザーボードはモデルによっては最初からインテルの設定したTDPがPL1になっておらず、無制限になってる場合もあった。ゆえに、結局はマザーボードメーカーのデフォルトBIOS設定次第なので、あまり気にしてもしょうがない部分のような気もするのだが、今後はPL2の最大値まで明示していくということなのだろう。
なお、プロセスが微細化しているのでデフォルトの状態で発熱の具合はまったくの未知数だ。上記のスライド資料によれば、第12世代インテルCoreプロセッサーのパッケージは第10世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Comet Lake-S)で導入したThin Die構造に、さらにSTIM(ソルダリングの熱伝導素材)も薄くし、そのぶんヒートスプレッダーを厚くしている(Thick IHS)と説明している。
この仕様変更は「241W設定だと熱がヤバいから」と考えるか、「競合に対するアドバンテージの強化」と見るかで意見が分かれそうだ。いずれにせよCPUクーラーは従来のLGA1200/115x系は使えないので、手持ちの水冷クーラーのリテンションキットを待つか、新たにLGA1700対応クーラーを購入する必要がある。ライトオーバークロックする際でもこの仕様変更を無駄にしないために、なるべく冷える簡易水冷クーラーを選んでおきたいところ。
性能はRyzen 9 5950Xを上回るデータも……
第12世代インテルCoreプロセッサーは前世代比で、総合性能で平均19%アップをうたっている。また、実際のゲームにおいてはCore i9-12900KとCore i9-11900K、そして競合のRyzen 9 5950Xの比較結果を示している。とんとん、あるいは若干不利になるタイトルもあるようだが、1.3倍近く性能が上がっているものもあるとのこと。
シングルスレッドの性能向上も見逃せない。第10世代インテルCoreプロセッサーと比べた場合、第11世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Rocket Lake-S)が12%アップ、第12世代インテルCoreプロセッサーのPコアは28%とかなり上がっている印象だ。また、Eコアでも1%向上しているので、「省電力コア」と言えど、シングルスレッド時の瞬間的なパワーで力不足を感じるシーンはなさそうだ。
と、景気の良い数字が並んでいるがもちろんゲームに関しては内蔵GPUの性能ではなく、ビデオカードを搭載した場合の結果だ。ゆえに、微細化したXeベース内蔵GPUではあるのだが、その性能には過度な期待はしないほうがいいかもしれない。
というのも、内蔵GPUは基本、dGPUを組み込みづらいノートPCのゲーミング性能を底上げするという役割が大きい。ゆえに、グラボありきで組むことの多いデスクトップPCよりも内蔵GPUのEU数が多かったりする。逆もまたしかりで、Alder Lake世代の第12世代インテルCoreプロセッサーのEU数はノートPC版が96基、デスクトップPC版は32基となっている。