独自開発のイベントプラットフォームはOMOを目指して今後も進化
自らクラウドネイティブを実践するCloudNative Daysのイベント運用
2021年10月05日 07時00分更新
11月4日・5日にオンライン開催される「CloudNative Days Tokyo 2021」の発表会が開催された。プロダクション環境での事例や実践ノウハウが披露されるほか、昨年導入された独自開発のイベントプラットフォームはクラウドネイティブな設計でますますパワーアップしている。
金融機関のクラウドネイティブが基調講演のテーマ
CloudNative Daysは、2018年開催のイベント「JapanContainerDays」を前身とした技術イベント。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)と連携し、Kubernetesやコンテナ技術に留まらず、マイクロサービス、サーバレス、DevOpsなどクラウドネイティブに関するトピックを包括する。
プロダクション環境でのクラウドネイティブ事例が一般化した今年は「+Native~ともにつなげるクラウドネイティブの世界~」をテーマに、11月4・5日の2日間でオンライン開催される。企業スポンサーは約30社、セッション数は60を予定しており、来場者数は2000名以上を見込む。CloudNative Days Tokyo実行委員会がイベントを主催し、インプレスが運営を手がけている。
今年のキーノートではCNCFによるクラウドネイティブ技術の標準化動向のほか、フルクラウドでの銀行システムの実装を目指したみんなの銀行、そしてモバイルアプリ「Mable」の高速開発について解説する三菱UFJインフォメーションテクノロジーという2つの金融事例が披露される。また、早期からkubernetesを活用してきたからこそ話せるセキュリティ話を披露するメルカリ、世界150カ所で提供されている「みてね」を支えるミクシィのSREチーム、そしてステートフルアプリをkubernetes上で動かすノウハウを披露するゼットラボなどによる魅力的な講演が並ぶ。
今回はオンラインでの参加者同士のコミュニケーションを促進すべく、仮想イベントスペースを利用できる「oVice」と、気になる質問や話題を投げられる「miro」という2つのオンラインツールを利用するという。
クラウドネイティブの導入で会期中でもシステムを更新できる
CloudNative Daysでは、昨年からイベントプラットフォームを運営チームが独自開発している。イベントプラットフォームは参加登録やタイムテーブル、動画(vimeo)の視聴、コミュニケーションのUXとなるサービスで、商用サービスを利用するのがほとんど。これに対してCloudNative Daysはコロナ禍でイベントがオンライン前提となる中、いち早く独自開発に舵を切っている。
昨年の時点ではRuby on Railsとherokuを組み合わせたシンプルなシステムだったが、クラウドネイティブで開発し直した。2021年の春に開催されたCloudNative Days Sptring 2021では、kubernetesベースのインフラ、ReactによるUI、独自のチャット&QAなどを実装。2021年7月には初の外部利用として「Cloud Operator Days 2021」が本イベントプラットフォームを採用している。
また、9月に開催されたスピンオフイベントである「CI/CD Conference 2021」では、CFP受付機能やスポンサー・スピーカーのダッシュボードも実装され、クラウドネイティブなOSSの活用も強化した。実際、複数トラックでもストレスなく見ることができ、チャットも組み込まれ、ライブとアーカイブも気軽に切り替えられる優れたUXを実現しているという。
もちろん、11月に開催されるCloudNative Days Tokyo 2021に向けてイベントプラットフォームの強化は続いており、動画配信と密着した配信オペレーション、登壇者と配信者との新しいコミュニケーション、より高度なkubernetesの活用などが進められる。自らがクラウドネイティブを実践することで、イベント開催中であっても素早く不具合を修正したり、スケールすることが可能になったという。
今後はアフターコロナを見据え、オンラインとオフラインの二者択一ではなく、OMO(Online Merges with Offline)を実現するイベントプラットフォームとして開発を進める。具体的にはオンラインとオフラインで、共通IDを用いたり、課金や入退場、配信オペレーションなどを同時に行なえるプラットフォームを試行錯誤しながら作っていくという。
「アイデアは数多くあるが、こうすればできるという答えはない。アイデアを実装し、動かし、改善していくループを素早く回していく必要があり、これは自分たちで手を動かさなければ実現できない」(草間氏)とのことで、CNDT実行委員会でチームと文化を作り、クラウドネイティブ技術で実現の下支えをしてきたという。