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京都大学・プラットフォーム学連続セミナーVol.3「スマート漁業とプラットフォーム学」ご案内

9月29日イベント開催「美味しい魚をいつでも食べたい」から「SDGsの実現」を一緒に考えませんか?【参加無料/オンライン】

2021年09月24日 17時30分更新

文● ASCII

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 2021年も9月後半となり、年末商戦へ向け毎年恒例の新型スマートフォンの発表が盛り上がりを見せるなど秋もいよいよ本番。この時期といえば「秋の味覚」も楽しみのひとつですが、その代表格とも言えるサンマについて、ここ数年「不漁」そして「価格の高騰」を毎年のようにニュースで聞くようになりました。実際、全国さんま棒受網漁業協同組合が発表している水揚げ量の推移を見ると、2008年(およそ34万3000トン)をピークに減少は止まらず、2020年はおよそ2万9000トンと2008年の10分の1未満にまで大きく落ち込んでいます。気候変動や海洋生態系の変化について、そして気軽にサンマを味わえる秋の再来について、なんとも頭を抱えてしまうようなデータです。こうした状況や漁業の未来を見据えて、現在「スマート漁業」や「スマート水産業」という取り組みが広まっていることをご存知でしょうか。

 「なぜアスキーでサンマや漁業の話をするのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、たとえば「来年のサンマの水揚げ量を予測するため、そもそも日本の漁場にどれくらいサンマが来遊してくるのかを推定したい」といったとき、独自に収集したサンマの生態データ(体重や肥満度といったものまで!)や漁場の水温、過去の気象情報、これまでの漁獲量実績など多数のデータソースから、機械学習などを活用して「来遊モデル」を作成し、高精度なシミュレーションを実施するような事例が多数見られます。つまり漁業や海洋資源といった対象と、AIやデータ分析あるいはデータ収集のためのセンシング技術などICT技術の進歩は、密接に考えることができるテクノロジー活用面でも大変面白いテーマだ、ということです。

 また漁業については産業的特徴としても、SDGsなど含む海洋保全や持続可能性の観点から言っても、地球環境保護と真正面から向き合わなければならない産業です。テレビドキュメンタリーなどで「腕利きの漁師が大物を釣り上げて一攫千金!」のような映像をご覧になられた経験がある方も多いと思いますが、その前提として乱獲や海洋生態系への悪影響を防ぐことは今後必須であり、複数の漁船それぞれについて漁獲量をコントロールすることも必要となってくるでしょう。しかしそれと同時に従事する漁師の方たちの収入を確保・安定化しなければ、漁業の担い手は減るいっぽうとなります。ここでも上記で説明したような漁獲量の正確な予測に基づいて、各漁船に経済的負担を強いない(きちんと儲かる)範囲での管理された漁業の実施が今後求められることが予期されます。そしてより正確な予測のためには、より多くの・多種類のデータ収集が必要となり、膨大なデータ量を扱うには高い演算処理ができるマシンリソースの充実も欠かせません。

 以上のような「ICT技術の進化や利活用でこれからの漁業はどう変わっていくのか」という、テクノロジーと食産業の交差点における現状と未来について識者たちが議論を交わす無料オンラインイベントを、9月29日(水)に京都大学「社会を駆動するプラットフォーム学卓越大学院プログラム」が開催します。

【参考記事】
すしざんまい木村社長・“船団”を持つ漁業ベンチャー・魚群探知機を世界で初めて実用化した企業担当者が集い、ICTで変わるこれからの漁業を考えるセミナー開催

 登壇者には「マグロ大王」の愛称でも知られる寿司チェーンすしざんまいの木村清氏、現場未経験から漁師たちをまとめ上げ、船団を率いる活動展開が各メディアでも注目を集めている株式会社GHIBLIの坪内知佳氏、魚群探知機などを扱う船舶用電子機器メーカー「フルノ」で新たな水中センサーの技術開発に取り組む古野電気株式会社の西森靖氏を招き、京都大学の研究者とスマート漁業の実情やこれからなどをテーマにディスカッションを行なう予定です。

 事前のご応募が必要となるものの参加費は無料です。これからも美味しい海産物を安定して味わうためには? という身近な題材から、テクノロジーの進化が漁業へ与える影響、そしてSDGsなどの実現へICT技術がどう貢献できるのかを考えるイベントへ是非ご参加ください。 

京都大学【プラットフォーム学連続セミナーVol.3】イベント詳細

・イベント名:『スマート漁業とプラットフォーム学』~海洋資源の保全と豊かな食文化の維持を目指して~
・開催:9月29日12時~14時15分(参加のお申し込みは9月27日17時まで)
・主催:京都大学プラットフォーム学卓越大学院
・協力:京大オリジナル株式会社、株式会社角川アスキー総合研究所
・事前応募制/オンラインセミナー(Zoomウェビナー)
・お申し込みはこちらから

登壇者一覧

株式会社喜代村(すしざんまい) 代表取締役社長 木村清 氏
1952年千葉県生まれ。中学卒業後、15歳で航空自衛隊に入隊。18歳で大検に合格し、航空操縦学生になる資格を得るも、交通事故で目を負傷しパイロットの夢を断念。72年中央大学法学部に入学。74年に退官。同年、在学中に大洋漁業(現・マルハニチロホールディングス)の子会社である新洋商事にて勤務。食材や食品などの開発・販売を手掛ける。79年喜代村の前身にあたる木村商店を創業。85年(株)喜代村設立。2001年4月築地場外市場に日本初の年中無休24時間営業の寿司店「すしざんまい本店」を開店。愛称は「マグロ大王」。

船団丸 代表 / 株式会社GHIBLI 代表取締役 坪内知佳 氏
1986年福井県生まれ。2010年、山口県萩市内で翻訳とコンサルティング業務を行なう事務所を設立。同年10月に知見のなかった漁業の世界に飛び込み、2011年3月、約60名の漁業者をまとめ、萩大島船団丸を設立し代表に就任(2014年4月、株式会社GHIBLIとして法人化)。以降、漁師集団とともに、船団を「家業」から「企業」にするため、日夜奮闘している。漁協との調整や出荷ルートの確保、販路開拓までを手がけ、2015年春からは福島県いわき市の漁港の復興にも携わる。

古野電気株式会社 技術研究所 フェロー(センシング技術、産官学連携担当) 西森靖 氏
1984年、大阪大学大学院工学研究課応用物理学コース卒業、同年古野電気株式会社入社。魚群探知機、スキャニングソナー、超音波診断装置などの研究開発に従事。2009年 水産資源調査向け計量スキャニングソナーの研究により、学位取得(水産科学、北海道大学)。2012~2021年 取締役・技術研究所長、今春よりフェロー。現在、漁業、養殖を含む海洋分野向けの新しい水中センサー開発を推進中。

京都大学 農学研究科 応用生物科学専攻 三田村啓理 教授
京都大学農学研究科教授。同情報学研究科准教授を経て2020年より現職。生物の行動や生態を直接計測するバイオロギング・バイオテレメトリーを水圏に生息する魚類などに適用し、彼らの行動・生態の解明に取り組んでいる。フィールドはタイ国、福島県、京都府、和歌山県、広島県、高知県、宮崎県など多岐にわたる。

京都大学 プラットフォーム学卓越大学院 プログラムコーディネーター 原田博司 教授
京都大学情報学研究科教授。郵政省通信総合研究所(現 情報通信研究機構)を経て2014年より現職。5G、6G通信システム、IoT用通信システムの研究開発、標準化、実用化に従事。取得国内特許は250件以上。自身が開発したスマートメーター用無線システムWi-SUNは、全世界で数千万台導入されている。

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