本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&ウェブアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回はMicrosoft Teamsのアップデートと背景にあるハイブリッドワークに注目した。
「ハイブリッドワーク」とは
Microsoftは米国時間2021年6月17日、Microsoft Teamsに関するアップデートを公式ブログで発表した。本件をひも解く前に「ハイブリッドワーク」について触れておきたい。同社Chairman兼CEOのSatya Nadella氏が米国時間2021年5月21日に発表した調査結果によれば、リモートワークを活用した働き方を希望する従業員は73%、コロナ収束後に対人業務やコラボレーションを望む従業員は67%におよぶ(n=31092)。同社はこの相反する結果を逆説的に捉え、先のブログでも「人々がハイブリッドワークで成功するためにビジネスリーダーは『人』『場所』『プロセス』(の3軸を用いて)新しい運用モデルで組織を再考する必要がある」(同社CVP for Microsoft 365, Jared Spataro氏)と提唱している。端的に述べればコロナ禍でも密接なビジネスコミュニケーションを実現するため、同社ソリューションの全面的な活用を提案するものだ。2016年11月の発表から間もなく5年目を迎えるMicrosoft Teamsは、ハイブリッドワークを機軸に進化する。
会議室をハイブリッドワーク化するMicrosoft Teams Roomsの新機能
それでは今後提供される新機能をひも解いていこう。Microsoft Teams Rooms(以下、Teams Rooms)は企業の会議室と会議室、もしくは自宅などオフィス外で働く従業員をつなぐソリューションだが、今夏からハイブリッドワークを想定したレイアウトに切り替わる予定だ。下図をご覧になると一目瞭然だが、画面上部中央には共有コンテンツ、上部右側はテキストチャット、上部左側は予定表、画面下部には参加者の映像が映っている。コンテンツ未共有時は複数のディスプレイに参加者の映像を映し出す機能も加わるようだ。Teams Roomsを利用するには対応デバイスが必要ながらも、最近は安価なモデルなど選択の幅も増え、既存のディスプレイやスピーカーを流用できる可能性もある。デジタル化に立ち後れた中堅中小企業の会議室をハイブリッドワークに対応させたい企業は今後の動向に注目してほしい。
同じく今夏実装予定のホワイトボードは、参加者が各種コンテンツを自由に貼り付けて、ブレインストーミングの活性化をうながす機能だ。現在のMicrosoft Teamsでも、オンライン会議中はMicrosoft Whiteboardを用いたコラボレーションに対応している。だが、図にあるようなコンテンツの貼り付けはツールバーからの種類選択を経て、該当ファイルを選ばずに済むのは大きい。
着々と機能を拡充するMicrosoft Teams
他方で毎日使用するMicrosoft Teamsの新機能は、こちらの公式ブログでまとめられている。現在のMicrosoft TeamsでもTasksアプリは利用可能だが、チャネルやチャットのメッセージからタスクを直接作成する機能が加わる予定だ。下図は筆者のテナントでプレビュー版のMicrosoft Teamsを用いたものだが、本機能が展開されていることを確認した。
また、オンライン会議主催者および登壇者によるスポットライト機能や、事前に参加者のカメラ&マイクの有効化もしくは無効化、オンライン会議中も個々のカメラ&マイクを有効もしくは有効にする機能も加わる。こちらの機能は検証していないが、カメラやマイクを有効にする必要がない場面でもオンにする不注意な出席者の排除に役立つだろう。なお、モバイル版Microsoft Teamsはメッセージの翻訳機能が加わる予定だ(Roadmap ID63226および83399)。
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