NTTドコモが提供する映像配信サービス「dTV」の新ジャンル「ライブ」が5月からスタートしている。
さまざまなアーティストの過去のライブ映像のアーカイブをおよそ1200本用意しているほか、オンラインライブの有料配信機能を実装。コロナ禍で急速に需要を得た配信形式のライブのプラットフォームとしても機能するようになった。
担当部署を統括する山下 智正氏に、ライブ機能のポイントと、サービス開始の狙いをきく機会を得たので、その模様をインタビュー形式でレポートする。
新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、野外フェスや音楽ライブも軒並み中止が続く中、自宅で視聴可能なオンラインライブが人気を博している。dTVのライブ機能ではまさにこの部分をカバーしているが、一般的なプラットフォームと比較してどこに違いがあるのか、明らかにしたい。
コロナ禍で伸びた配信ライブ需要
ライブにまつわる一連の流れの中で使ってほしい
-ー以前NTTドコモでは、「新体感ライブ CONNECT」というライブ配信サービスを提供していました。今回のライブ機能は、そのノウハウを引き継いだものだそうですね。
山下氏「はい。今回のライブ機能は、5G回線のローンチに合わせて、『5Gらしいサービス』を考える中で生まれたものです。dTVのユーザー様だけでなく、非会員の方に向けても、広く、有料配信ライブを提供します。決済にはクレジットカードやキャリア決済が使え、ドコモユーザーの方なら、dポイントを支払いに充当することも可能です(※)」
※クレジットカード、dポイント支払いはドコモユーザー以外も使用可。キャリア決済はドコモユーザーのみ使用可-ーコロナ禍で配信ライブの需要が伸びてきたことも、サービスの開始に影響していますか?
山下氏「新型コロナウイルスの感染が拡大する以前から動いていたプロジェクトなので、当初はどちらかというと、純粋に5Gの文脈でのサービススタートを目指していました。
従来の配信ライブは、あくまでもリアルなライブの副次的なものという意味合いが強かったと認識していますが、新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、配信ライブの価値が見直され、再認識された部分があると思います。そこで、dTVのライブジャンルでは、『インタラクティブなコミュニケーション』を意識しています」
-ーインタラクティブというと。
山下氏「ひとつはコメント機能です。配信ページにコメント機能を設けることで、ユーザーさま同士が意見を交換し、ライブの余韻に浸ることができるのではないかと考えました。この部分は、まだ調整を続けていきたいと思っています」
-ーアーティストさんが、ユーザーのコメントに直接返信をするようなこともあり得るのでしょうか。TwitterやInstagramのような既存のSNSを置き換えるようなものを目指すとか?
山下氏「既存の大きなSNSサービスに取ってかわるというほどまでは考えていませんが、それらと併用しつつ、ライブを楽しむ流れの中で使っていただけたら嬉しいと思っています。アーティストさんから直接返信があるといった機能は現時点では実装していませんが、それも良さそうです」
-ーYouTubeのライブ配信機能も、配信ライブでよく使われているプラットフォームですよね。既存の大型プラットフォームに対して、どこを最も大きな差別化のポイントと捉えていらっしゃいますか?
山下氏「YouTubeさんはすごく強いプラットフォームで、様子を拝見していても、さまざまな取り組みをされていると感じています。ですが、映像配信のプラットフォームを使って、ライブを配信するという、この領域自体がどんどん伸びていっていると認識していますし、確立されつつあると認識しています。
どちらかというと、『ライブ配信といえばdTVだよね』と言われるような存在を目指したいと考えているんです。ライブを楽しむ人の行動というのは、私たちも日々勉強しているのですが、当日の前に、セットリストを予想したり、曲を聞き込んだり、といった予習の時間があって、一番盛り上がる当日を迎え、終演後は、SNSなどでユーザーさん同士が感想を交えながら、余韻に浸っていく。こういった動きがあると思います。そこの手助けをできないかという想いが強いですね。
独自の取り組みとしては、例えば、Da-iCEさんが配信ライブをされたときは、当日の前に特番を組ませていただき、dTVで配信しました。dTVの会員でなくとも、都度決済でライブそのものを見ていただくことはできますが、会員になっていただくと、そういった一連の流れでライブをより深く味わうことができる。この部分は、サブスクリプションサービスならではの面白さだと思います」
-ーなるほど。当日のライブも見れるし、過去の映像も楽しめて、かつコメントで盛り上がれる。ライブの当日という「点」だけでなく、ライブの前後も含めた「流れ」をオールインワンで楽しめる点が、大きな特徴になりそうですね。