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東京オリンピックは技術にも注目、Intelが5G、AI、ドローンなどで技術協力

2021年07月30日 15時20分更新

文● 末岡洋子

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 国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドオリンピックパートナーを務めるIntel、開幕迫る東京2020オリンピック競技大会では、同社の最新の技術が大会の運営、視聴者の体験、アスリートのパフォーマンスなどさまざまな面で使われる。7月20日、Intelがその一部を紹介した。

 Intelは2017年にIOCとテクノロジー・パートナーシップを締結しており、2018年の平昌2018冬季オリンピックですでにドローン、VR、5Gなどの最新の技術を提供している。

ドローンを持つ鈴木国正氏

 今回の東京オリンピックでは、プロセッサ、5G テクノロジー・プラットフォーム、AIプラットフォーム、没入型メディア(VR、3Dなど)コンテンツ開発プラットフォーム、ドローン、スポーツ・パフォーマンス・プラットフォームの大きく6つの技術分野で協力する。これらの技術を、アスリートのパフォーマンス、大会運営、開催都市のインフラ整備、放送事業者による大会の配信、オリンピックファンの大会体験で用いるという。

 これらの中から、インテル代表取締役社長を務める鈴木国正氏はこの日、自宅からの視聴体験と大会運営の2分野での技術事例を紹介した。

 テレビ/オンライン視聴体験として最初に紹介したのは、AIを用いたコンピュータビジョンソリューションの「3DAT(3D Athlete Tracking)」という技術だ。陸上競技(100メートルなど短距離種目)で導入するもので、4台のカメラ(モバイル・パンチルトカメラ)を用いて選手の動きやフォームを毎秒60フレームで記録し、加速度や速度といったデータをオーバーレイで表示する。大量のデータをIntel Xeon、Intel OptaneなどのIntelの処理技術を使って高速に処理し、ほぼリアルタイムで分析できるという。「肉眼では判別しにくい加速度、時速などが可視化され、オーバーレイ表示されることで新しい試聴体験を提供できる」と鈴木氏。

 試聴体験だけでなく、選手やコーチは分析結果を得られる。速度を測定するためのセンサーなどを選手が装着する必要がないこともメリットになると鈴木氏は説明した。

 すでにNFL、NBA、LaLigaなどの導入事例をもつ「True View」も東京オリンピックで使われる。True Viewは会場を取り囲むように小型の5kカメラを設置し、縦、横、奥行きを記録した立体映像データ(voxels)を生成することで、没入型の試聴体験を提供するもの。Xeonベースのサーバー、Coreプロセッサファミリーを搭載したPCで処理、レンダリング、配信する。

 今回はバスケットボールで使われ、15日間で52試合を撮影し、放映権を有する放送事業者を通じて配信される。ゴールリンクからの視点や選手の視点で楽しむことができるという。

 5Gでは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の「TOKYO 2020 5G Project」として、NTT、NTTドコモとともに協力する。5Gを使った新しいスポーツ試聴体験を提供するもので、種目は水泳、セーリング、ゴルフの3種目。IntelはNTTドコモの5G商用ネットワークに強力し、Xeonスケーラブル・プロセッサを搭載システムを提供する。

 平昌では1200台以上のドローンによるライトショーが話題となったドローン、今回は「最新型」とする軽量(1基300グラム強)ながら高精度のLEDを搭載し、ソフトウェアとハードウェアの両面で安定性を図ったものが登場するようだ。

 大会運営では、IOCデータ利活用プロジェクトを紹介した。技術としてはプロセッサ、AIプラットフォームとなり、スタジアム、駐車場などで人の数を計測し収容能力に近づいたらアラートを出すなどのこれまで文書や人手を介して行なっていたことを効率化するという。全てのデータは匿名化され、個人を特定できるデータはキャプチャしないなどプライバシーの保護対策も行なわれている。

 AIや深層学習アクセラレータ技術を使うIntel Distributionのツールキット「OpenVINO」を基盤としており、「AIの可能性を最大限にできる」と鈴木氏。今回の大会から得られたデータは次の大会にも活用して、さらなる運用効率化に貢献できるとした。

 オリンピックなどスポーツイベントに技術企業が参加することについて尋ねたところ、Intel オリンピック・プログラム・オフィス 本部長、Rick Echevarria(リック・エチェバリア)氏は、「テクノロジーが試合や大会に重要になってきた」と述べる。オリンピックで提供した技術はその後、ビジネス上のチャンスにもつながる、とEchevarria氏。それだけでなく「新しい技術の活用方法を探ったり、技術そのものを高めるチャンスになる」と述べた。

リック・エチェバリア氏

 例として5Gを取り上げ、「平昌ではプライベートネットワークだったが、東京大会では商業ベースの5Gネットワークを活用する。これから5Gがどのように進化していくのか、技術の歩調が加速するだろう」と述べた。

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