AIや自動化の技術が大会を支える
TOKYO 2020 5GPROJECTでは、NTTドコモの5G商用ネットワークにインテルのテクノロジーを採用。これを利用した視聴体験を提供するほか、セーリングや水泳、ゴルフにもこのネットワークを活用する。セーリングでは、ドローンに搭載した4Kカメラなどで、複数のカメラで撮影した映像を、12Kの超ワイド映像に合成。「現場では、高熱のなかという過酷な環境でも稼働するXeon搭載のスモールファクターのハードウェアが活躍している」という。水泳では、AR視聴を可能にしており、会場では、選手の動きから目を離さずに、リアルタイムに選手の記録や順位などを表示。テレビ中継を見ているように、多彩な情報をみながらライブ観戦ができる。
「超ワイド映像の表示やAR技術の活用については、無観客開催でなければ、会場で新たな体験が提供できたといえる。その点では、残念な部分もあるが、こうした経験を次の大会につなげていきたい」とする。
そして、社内コードネームで、Music AIと呼ばれていた 2020 Beatは、AIによって作られた43の基本リズムと、5つのメロディをもとにして生まれた楽曲にあわせ、手拍子やダンスをした応援動画をSNSで投稿することができ、これらを競技会場のスクリーンなどでも上映。会場に運ばなくても選手を応援できるというものだ。
さらに、、IOCデータ利活用プロジェクトにも参画。インテルは、プロセッサーやAI技術などによって、IOCのデータプラットフォームをサポート。カメラやセンサーの情報をベースに、スタジアムやバス、駐車施設など、所定のエリアの混雑状況を把握。大会関係者が、効率的に移動したり、安心、安全な大会運営の実現に貢献しているという。
「これまで手作業で行っていたデータ収集を、自動的に収集し、リアルタイム分析と高品質なデータによる意思決定のサポートを行っている。また、すべてのデータが、完全に匿名化され、画像などで個人特定できるデータはキャプチャーも保存もしない。プライバシーは完全に守られている。さらに、これらのデータは、次の大会運営にも引き継ぐことになる」という。
インテルの鈴木社長は、「これらの事例は、公表できる一部でしかない。インテルは、継続的にスポーツとテクノロジーの融合を進め、安心、安全な大会運営を支援していく。東京2020オリンピックでは、インテルの先進テクノロジーを活用し、選手やファンが革新的な体験を得られるようサポートしていく」と述べた。
東京2020オリンピックの盛り上がりを支えるインテルのテクノロジーの活躍にも期待したい。
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