反動は必至、高校向けGIGAスクールは起爆剤になりにくい
一方、量販店などの販売データを集計しているBCNによると、さらに激しい落ち込みがみられている。
2021年4月のPC販売台数実績は、前年同月比21.1%減と大幅な落ち込みになっている。これは、前年同月に、テレワークを実施するために、量販店などで個人向けPCを購入した人が多かったことの反動だといえる。実際、テレワーク需要の中心となったノートPCは22.0%減と大きく減少しているが、デスクとトップPCは9.2%減と減少幅が少ない。
PC業界が懸念しているのは、今後の動向だ。
教育分野では、小中学校向けのGIGAスクール構想による需要が終了し、2021年度には高校向けに1人1台のデバイス環境の整備が進むことになるが、整備台数の規模が少ないこと、高校向けGIGAスクール構想の予算が限定的であること、整備方法は個人所有のデバイスを利用するケースが含まれること、PCだけでなく、タブレットやスマホも対象になるなど、状況がかなり異なる。その結果、PC市場全体への影響はそれほど大きくないというのが共通的な認識だ。
また、テレワーク需要は一巡したとの観測もあり、今後のPC需要を喚起する起爆剤にはならないとの見方が支配的だ。GIGAスクール構想とテレワークの特需に沸いた2020年度の反動が、2021年度に見られるというわけだ。
今回、JEITAが発表した2021年4月の需要の落ち込みは、想定よりも少なかったという声もあるが、5月以降も継続的にマイナス成長になるのは確実と見てられており、とくに、前年にGIGAスクール需要が少しずつ増加しはじめた6月以降の落ち込みが、どれぐらいの規模になるのかが注目される。
2021年3月までは好調な国内PC市場であったが、2021年4月に始まった前年割れの状況が、今後は、どれぐらいの落ち込みで推移するのか、そして、どれぐらいの期間続くのかが、業界の関心事になっている。