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Google I/O 2021から見えた「現実とネットの導線」変化

2021年05月26日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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Google I/O 2021の基調講演に登壇した、同社のスンダー・ピチャイCEO

 今年のGoogle I/Oを一言で表すのは難しい。

 いや、毎回難しいのは難しいのだが、特に今年は濃度が高く、分析が大変な年でもある。2020年のGoogle I/Oがコロナ禍で中止になった関係もあるのか、まるで溜めていたものを一気に打ち出したように、ネタの多いイベントになっている。

 どこを切り口とするかは人によってまちまちだと思うが、筆者の基準で、重要と思われるものを5つピックアップしてみたいと思う。

今秋のデバイスが楽しみな「Android 12」と「Wear OS」

 1つ目、2つ目はわかりやすく、多くの人にすぐ影響が出るところから行こう。「Android 12」と新「Wear OS」だ。

 これらのOSは毎年アップデートされていて、アップデートそのものは驚きではない。ただ、今年は特に面白い年になる。

Android 12。デザインを変更した結果、自分の好きな色合いへと統一感を保ったまま簡単にカスタマイズできるようになった

 Android 12は、久々にデザインとそれを支える仕組みが大きく変わるバージョンになる。導入される「Material You」という仕組みは、UIコンポーネントのアニメーション動作がよりなめらかになり、デザインテイストを崩さず、好きな色にカスタマイズするのも容易になる。また、UWBを使って自動車の「スマートキー」になる機能や、Android TV(Google TV)のリモコンになる機能など、機器連携も強化される。

 スマートウォッチ向けのOSである「Wear OS」では、より大きく根本的な変化が起きる。OSのコアがAndroidからTizenへ変わるのだ。

スマートウォッチ向けのOSである「Wear OS」は、サムスンの「Tizen」と統合される。狙いはバッテリー動作時間の改善だ

 Tizenはサムスンがリードして開発しているLinuxベースのオープンなOSで、一時は「第三のスマホOS」とも騒がれた。だが、結局スマートフォン向けではAndroidの牙城を崩すことはできず、サムスンが自社のスマートウォッチ「Galaxy Watch」向けに使っている……という経緯がある。

 Galaxy Watchはバッテリー動作時間の長さに定評があり、その理由はTizenにある、と言われている。スマートウォッチに対する消費者の不満はバッテリー動作時間に集中しているため、Wear OSのコアをTizenにして両者が統合されることは、ブランド力・エコシステム・バッテリー動作時間のすべての面でプラスと言える。

 これらのOSを使った製品が出てくるのは今年秋以降になるだろうが、商品力アップにつながることは間違いない。

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